研究課題/領域番号 |
20K17774
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岩井 与幸 筑波大学, 附属病院, クリニカル・フェロー (80865303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心肺蘇生 / 蘇生後脳症 / シロスタゾール / 脳浮腫 |
研究実績の概要 |
以下に示すようにマウス心肺停止モデルを用いて蘇生24時間後の脳水分量を測定した。 1.イソフルラン麻酔下のマウス(C57BL/6、オス、体重20-30g)に気管内挿管し人工呼吸管理する。2.右内頸静脈からPE-10カテーテルを挿入する(3.の心停止のためのKCL投与、及び蘇生のためのアドレナリン投与に使用する)。3.中心静脈からKCL(0.05ml,0.5M)を注入し心停止を誘発する。心停止時間を8分とする。人工呼吸を再開、アドレナリン0.5ml(16μg/ml)を中心静脈から投与、1分間に300回の心臓マッサージを開始する。通常蘇生開始後3分以内に自己心拍が再開する。蘇生後60分間観察し、1分間に60回以上の自発呼吸を確認したところで抜管する。実験中は直腸温を連続的にモニターする。 麻酔導入の30分前にシロスタゾール(30・60・120mg/kg)を経口投与し、24時間後の脳水分量を測定した。方法は脳実質をオーブンで乾燥させるwet-to-dry法を用いた。 当初の計画ではシロスタゾール10・20・30mg/kgから最適投与量を決定する予定であったが、最大量の30mg/kg投与で効果を認めず、60・120mg/kg投与で実験を行った。 シロスタゾール60mg/kg投与は蘇生後の脳浮腫抑制効果を認めた(投与群:77.83%±0.140 vs生食群: 78.78%±0.366、P=0.0001)。120mg/kg投与群は蘇生後の状態が悪く長期予後は期待できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたシロスタゾールの投与量では脳浮腫抑制効果がみられなかったため、さらに投与量を増やして追加の実験をおこなった。 このため最適投与量と低体温療法と比較、または組み合わせてその効果を検討する計画であったが本年度は行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の実験を計画通りに進める。 脳浮腫抑制に関連する因子を調べる。 具体的には蘇生24時間後に全身麻酔下に脳を摘出し、各種メディエーターを測定、シロスタゾールはどこの反応を抑制するのか対照群と比較する。炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6)をRT-PCRを用いて測定する。血管内皮・血液脳関門保護効果の評価のためにウェスタンブロットを用いてClaudin-5、Occuludin、ZO-1、MMP-9を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:実験の進行が計画よりやや遅れ、また計画段階では各群20匹のマウスの使用を予定していたが、計画より少ないサンプル数で有意差が出たため使用するマウスの数が減った。 使用計画:本年度に予定していたウェスタンブロットおよびRT-PCRを次年度に行う際の必要物品の購入等で使用予定である。
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