研究実績の概要 |
酸化ストレス,炎症反応の代表的な病態である虚血再灌流障害モデルのラット個体を使用し,ラットアルブミンの血管内皮グリコカリックスに対する保護および回復効果を検討し,その作用機序を解析した.in vivoでの冠動脈の結紮,再開通による虚血再灌流障害は冠動脈毛細血管のグリコカリックスを傷害することを電子顕微鏡,免疫組織化学で確認した.さらにラットアルブミンを投与するとこのグリコカリックスの障害を抑制することができた.グリコカリックスの障害の抑制は心筋浮腫の進行を抑制した.さらにアルブミンのキャリア蛋白であるスフィンゴシン-1-リン酸の受容体の阻害薬であるFingolimodの投与はこのアルブミンの保護効果を抑制することを見出した.これらの結果はアルブミンが単なる膠質浸透圧の維持の機能にとどまらず,生体の恒常性に寄与し,さらにグリコカリックスに対してもスフィンゴシン-1-リン酸を介して保護的に働くことを示唆するものである.これらの結果は第48回日本集中治療医学会学術集会の優秀演題候補としてノミネートされ,また第49回日本集中治療医学会学術集会シンポジウムでも発表を行った.さらに英文誌Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 666, 23 July 2023, Pages 29-35.でpublicationされた.
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