糖尿病における免疫機能変化について、糖化最終産物(Advanced Glycation end-products; AGEs)とマクロファージの機能に着目した研究を現在研究調書に記載した計画に基づき実施した。研究計画書の1)マクロファージによるLPS取り込みについては、マウス単球由来のセルラインである(RAW264.7)を用いたin vitro の研究で、マクロファージはCD14を介してLPSをエンドサイトーシスにより取り込むことを確認した。そして、CD14以外の主要なLPSやAGEsに関与すると報告のある受容体(TLRファミリー、スカベンジャー受容体、RAGE等)についても検討を行い、それらがマクロファージのLPS取り込みに影響を与えていないことも確認した。2)AGEsの作用メカニズムに関しては、AGEsの中で特に生理性が高く糖尿病の病因の1つとして考えられているグリコールアルデヒド由来のAGEであるAGE3を用いた研究を行った。AGE3のLPS取り込み抑制のメカニズムは未だ完全には確認できていないが、種々の検討によりRAGEが関与していることは明らかとなった。この研究により、AGE3はマクロファージによるLPS取り込みを抑制することが発見された。さらに、3)LPS取り込みによる細胞死の機序の検討中に、lPSを取り込んだマクロファージはCXCL10等のインターフェロンを産生し、免疫細胞の誘導に関与することが確認された。また、in vitro実験の副産物として、AGE3が内皮細胞の血管新生を促進する可能性を明らかにした。高AGEモデルマウス作成に挑みAGE測定器を用いて評価した。5) 他のPAMPsおよびDAMPs取り込みへの影響についての検討も in vitro 実験を行った。我々が検討を行った範囲で、同様の血管新生への影響を与える物質や相互作用を行う物質は認めなかった。
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