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2020 年度 実施状況報告書

ノルアドレナリン作動性内因性鎮痛の変化がデュロキセチン鎮痛へ及ぼす影響を調べる

研究課題

研究課題/領域番号 20K17804
研究機関群馬大学

研究代表者

伊東 幸日子  群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (50614997)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード神経障害性疼痛 / 内因性鎮痛 / ノルアドレナリン / デュロキセチン / オプトジェネティクス
研究実績の概要

神経障害性疼痛による慢性痛は治療が困難なことが多く、QOL、ADLを大きく低下させる。鎮痛薬が効きにくいことが一つの原因であるが、その理由は未だ不明である。本研究では鎮痛薬が経時的に効きにくくなるラット動物モデルを用いて、そのメカニズムを詳細に検討することを目的としている。特に我々がこれまでに検討を続けてきた、動物に元来備わっている内因性鎮痛システムとの関連に注目して検討している。慢性痛患者では内因性鎮痛システムの機能が低下しているとの報告がある。いくつかの鎮痛薬はノルアドレナリンやアセチルコリンによる鎮痛システムを活性化し鎮痛を示すことが知られており、鎮痛薬が効きにくい状況ではこれらのシステムがどう変化しているのかについてラットを用いて検討した。
①神経障害後のデュロキセチンの鎮痛作用の確認:SNL(spinal nerve ligation)後2週、6週のラットを用いて、デュロキセチンを投与後の鎮痛効果がどのように変化するのか確認した。鎮痛効果は測定部に現れる痛覚過敏をvon Frey filament testとpaw pressure testにより判定した。2週に比較し6週のラットではデュロキセチンの鎮痛効果は落ちていた。
②デュロキセチン投与後のノルアドレナリン、アセチルコリン放出量:脊髄後角組織内のノルアドレナリンとアセチルコリンをマイクロダイアライシスにより同時に測定し、SNL作成後2週、6週のラットで変化率を比較した。測定はHPLC-ECDにより行った。各神経伝達物質の濃度変化を算出し、神経障害後の週数およびデュロキセチン投与量ごとに統計学的な検討を進めているところである。さらには、ドーパミンβ脱水素酵素とアセチルコリン転移酵素をマーカーとする蛍光染色法を用いた免疫組織化学を行い、脊髄のノルアドレナリン作動性神経とアセチルコリン作動性神経の活動性がSNL後2週と6週でどのように変化しているかも比較検討しているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね計画通り進行中である。上記二項目につき、データは集まってきており、現在統計解析中である。今後の実験についても準備を進めている。

今後の研究の推進方策

人為的な内因性鎮痛機構の制御とデュロキセチン鎮痛の関連:DREADDシステムとオプトジェネティクスを利用し、ノルアドレナリン作動性神経系を制御することでノルアドレナリンの特異的役割を解明する。ノルアドレナリン作動性神経細胞にCreリコンビナーゼが発現する遺伝子組み換えラット(DbH-Creラット)にCre存在細胞でのみDREADDや光感受性受容体を発現させるアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を使用する。これにより人工リガンドもしくは光刺激によるノルアドレナリン神経のみの興奮・抑制制御が可能である。神経軸索末端から感染し、逆行性に細胞体へ輸送される逆行性AAVベクターを使用することで感覚制御に関与するノルアドレナリン細胞のみをターゲットとする。
最初に、人工リガンド(クロザピン-N-オキシド:CNO)投与によって痛み閾値が変化するのか検討する。その後にCNOとデュロキセチンを同時投与し、単独の場合と鎮痛効果がどのように変化するのか検討する。この検討は興奮性の受容体を発現するAAVと抑制性の受容体を発現するAAVいずれも使用し、ノルアドレナリン作動性神経のデュロキセチン鎮痛における役割を検討する。ノルアドレナリンを調節した状態で鎮痛も見られるようであれば、オピオイドやセロトニンなどの関与を念頭に、拮抗薬投与など薬理学的にも検討する。また、CNO単独あるいはデュロキセチンと同時投与した場合の脊髄のノルアドレナリンの放出量およびアセチルコリンの放出量についてマイクロダイアライシスにより測定する。ノルアドレナリンの放出を人為的に増減させることで、アセチルコリンがどう変化するのか検討する。

次年度使用額が生じた理由

今後実施予定の実験に使う物品の購入費などがこれから必要となります。昨年度は十分な視察が行えず旅費の使用が遅れています。

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公開日: 2021-12-27  

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