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2020 年度 実施状況報告書

炎症性疼痛におけるマクロファージのオートファジ―機構の役割

研究課題

研究課題/領域番号 20K17808
研究機関山梨大学

研究代表者

古藤田 眞和  山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30530133)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード炎症性疼痛 / マクロファージ / オートファジー
研究実績の概要

マクロファージ特異的オートファジー欠損マウス(Atg5f/fLysMCreマウス)を作製し、同マウスから採取した腹腔マクロファージにおいてAtg5発現が著しく低いことを確認した。炎症性疼痛におけるマクロファージのオートファジー機構の役割を調べるため、同マウスおよび同胞のコントロールマウスを用い、足底切開による術後性疼痛モデルにおける疼痛反応を比較した。マクロファージ特異的オートファジー欠損マウスでは、術後機械刺激・熱刺激への過敏性亢進が遷延し術後1-7日目において有意な亢進が認められたのに対し、同胞コントロールマウスではより早期における回復が確認され、7日目では有意な過敏性亢進は認められなかった。リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応による足底切開後の組織のサイトカイン発現評価において、マクロファージ特異的オートファジー欠損マウスでは同胞コントロールマウスと比較してインターロイキン1βなどの炎症性サイトカインのmRNAの上昇が認められた。しかし局所組織においてマクロファージおよび好中球の浸潤亢進は認めらなかった。ザイモサンを用いた感染性炎症性疼痛モデルでは、マクロファージ特異的オートファジー欠損マウスでは同胞コントロールマウスと比較し機械刺激・熱刺激への組織過敏性および炎症反応(足底浮腫・水分含有量亢進)の遷延が認められた。マクロファージ特異的オートファジー欠損マウスにおいては組織障害時に過大なサイトカイン産生が生じ、さらに炎症が遷延して疼痛の回復遅延が生じていることが示唆された。オートファジーの欠損はマクロファージの遊走・浸潤能自体には影響を与えず、同細胞からの炎症性サイトカイン産生を更新させる作用があると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

順調に進行している。

今後の研究の推進方策

マクロファージ特異的オートファジー欠損マウスおよび同胞コントロールマウスを使用し、各種炎症性疼痛モデルを作成する。以下の組織学的・分子細胞生物学的解析を行う。凍結切片を作成し、免疫組織染色によりマクロファージの局在・浸潤や分化(M1/M2)および好中球(Ly6G)の局在・浸潤を評価する。また、炎症および組織障害について評価する。各群におけるマクロファージのオートファジーの発現および局在を蛍光免疫染色により評価する。Western blotにより各種サイトカインやケモカイン(IL1β、TNFα、IL6、IL10、IL18、MCP1、MMP2、MMP9、CCL2、CCL5)および脊髄後角組織におけるcFos(神経活動性マーカーリン酸化タンパク)の産生を定量評価する。

次年度使用額が生じた理由

実験の効率化のため行動解析を優先して行い、組織学的評価および分子細胞生物学的解析は主に次年度に行う方針とした。これらのために予定していた予算は次年度に使用する。

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公開日: 2021-12-27  

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