プロポフォールの長期投与によりその麻酔・鎮静作用に対して耐性が生じると示唆されているが、その機序は明らかではない。プロポフォールはカンナビノイド受容体の内在性リガンドのアナンダミドを増加させ、カンナビノイド受容体1型(CB1)の拮抗薬によって麻酔作用が阻害される。CB1受容体は、長時間のアゴニストの曝露によってダウンレギュレーションを起こすことから、プロポフォールの麻酔・鎮静作用に対する耐性形成にもCB1受容体の変化が関与している可能性がある。本研究は、ラットを用いてプロポフォールの長時間投与によりCB1受容体のmRNA転写物量、タンパク発現量、ならびに受容体の細胞内局在が変化するか否かを明らかにすることが目的である。mRNA転写物量の測定にはreal-time PCR法を、タンパク発現量の検討にはウェスタンブロット法を用いて検討し、免疫染色法で細胞膜表面上に存在するCB1受容体の局在の変化について評価する。これらによって、プロポフォールの麻酔・鎮静作用に対する耐性形成の機序を明らかにする。われわれはこれまで、プロポフォールの1時間から4時間の持続投与によりラット脳内のCB1受容体mRNA転写物量が減少することを示した。そこで、より長時間のプロポフォール投与の影響を検討し、さらにCB1受容体タンパクへの影響を検討するものである。 12時間のプロポフォール投与により、より有意なCB1受容体転写物量の減少が認められた。ウェスタンブロットでは、皮質において有意な減少が認められたが、他部位では有意な減少はみられなかった。CB1受容体転写物量とタンパク質発現量の変化に違いがあることについても、研究を進めていく必要がある。 現在、本研究の基盤となった研究の論文を投稿中である。 具体的な研究計画につき立案中であり、免疫染色法での観察のため顕微鏡を購入した。
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