我々はより安全な鎮痛を目指して、神経成長因子(NGF)による痛み特異的シグナリングの特定を進めてきた。NGF-p75結合を選択的に阻害する抗NGF抗体NGF30をもとに精製したNGF30-F(ab’)2は、PC 12細胞においてNGF受容体TrkAのinternalizationを促進することが示された。またマウス足掌へのNGF投与による疼痛誘発モデルではNGF30-F(ab’)2の投与が有意に機械的過敏性亢進を抑制し、投与部位での異常な交感神経発芽を抑制することも示された。以上より、NGF30-F(ab’)2が 有効な鎮痛効果を示すとともに痛みを伴わない神経再生への活路が見出された。
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