レボブピバカインの温度応答性ゲル(室温ではゾル=液体なので、注射可能であり、体温でゲル化し、投与部位に残る)による注射可能な徐放製剤の作成、動物、人での評価を予定している。現在、関西大学との共同研究により徐放製剤作成には一定の成功はしている。徐放効果に関しては、試験管での放出速度を評価して、生体内と類似した環境で、内包させたレボブピバカインがおよそ48時間ほどで放出されることが確認できている。 作成したレボブピバカインの徐放製剤を用いて、ラットでの疼痛閾値評価、安全性評価を実施した。その結果、鎮痛効果時間の延長を確認できた。具体的には通常臨床で私用されている濃度のレボブピバカインと比較して、徐放化レボブピバカインでは、6時間後、12時間後で統計学的有意差を持って疼痛閾値の上昇を確認できた。24時間後も疼痛閾値は高い傾向ではあったが、統計学的有意差は示されなかった。臨床症状としての安全性評価で、運動障害の程度を評価した。その結果、通常のレボブピバカインと比較して、運動障害が長時間残存することは無かった。併せて、病理学的に顕微鏡レベルでの評価を実施した。投与部位周辺 の炎症反応を認めたが、神経への明らかな影響はなかった。鎮痛効果と安全性評価の結果を併せて、学会で報告した。また、学術誌での報告用の論文を現在投稿中である。 さらなる安全性の確認を行い、人での試験へとステップアップすることを計画している。併せて、徐放製剤の改良も可能か検討していく。
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