術後せん妄においてpNF-H測定を症例を限定し経時的に測定・比較することで、せん妄診断への応用の可能性や臨床像との対応付けを明らかにした。血液脳関門における炎症細胞の中枢神経移行を規定する血管内皮接着因子が、中枢神経ダメージの発症と重症化に関連することを明らかし、また術前からpNF-Hが増加している患者では術後せん妄の発症odds比が高まり、年齢と術前pNF-Hを用いることで発症リスクを感度70%、特異度91%で予測できる診断マーカーとしての有用性も示した。したがって、pNF-Hは術後せん妄~高次脳機能障害の発生を予防するための術後急性期における中枢神経保護戦略のバイオマーカーになり得る。
|