研究課題/領域番号 |
20K17833
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田中 竜介 信州大学, 医学部, 特任助教 (30771969)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳波 / 開腹手術 / 術後痛 |
研究実績の概要 |
予定開腹手術を受けた患者26名(男性 8名、女性 18名、年齢 65±14 歳(平均±標準偏差))を対象に、手術中脳波変化と術後痛の関連を後方視的に調べた。開腹手術は消化器外科、産婦人科、泌尿器科手術に限定し、血管外科手術は除外した。脳波はBispectral indexモニターから抽出した前額部脳波を用いた。手術中脳波変化は手術開始時と終了時の脳波をスペクトル解析し、各周波数帯域のパワーの変化量を求めることにより評価した。術後痛は、術後1日目の痛みの程度をNumerical Rating Scale(NRS)を用いて評価した。NRS 4以上を中等度以上の術後痛ありと定義した。26名中8名に中等度以上の術後痛を認めた。硬膜外麻酔は術後痛あり群で4名 (50%)、術後痛なし群で9名(50%)に行った。術後痛あり群と術後痛なし群間で、年齢(74 ± 13 vs 62 ± 14歳、P = 0.061)、手術時間(280 ± 146 vs 347 ± 180分、P = 0.330)、レミフェンタニル使用量(0.40 ± 0.14 vs 0.44 ± 0.26 mg/時、P = 0.607)、フェンタニル使用量(54 ± 40 vs 58 ± 36 μg/時、P = 0.818)に有意差を認めなかった。術後痛あり群と術後痛なし群で各周波数帯域の脳波変化は以下のようになった。α帯域:-0.192 ± 1.49 vs -0.590 ± 2.66 dB (P = 0.630)、θ帯域:-0.206 ± 0.77 vs 0.472 ± 2.39 dB (P = 0.290)、δ帯域:-0.903 ± 1.35 vs -0.134 ± 2.83 dB (P = 0.358)。現時点での解析では、術後痛あり群と術後痛なし群の間で脳波変化に有意差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳波と術後痛の関連を結論づけるのに、十分な症例数の脳波解析を行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
対象患者を増やし、引き続き手術中脳波変化と術後痛の関連を調査する。脳波解析はスペクトル解析以外に、手術中の侵害刺激に鋭敏に反応するとされるバイコヒーランス解析も行い、手術中脳波変化と術後痛の関連を詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の影響により実験計画に遅れが生じ、次年度使用額が生じた。次年度使用額は消耗品として使用する予定である。
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