研究課題/領域番号 |
20K17833
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田中 竜介 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (30771969)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳波 / 術後痛 |
研究実績の概要 |
予定開腹手術(消化器外科、産婦人科、泌尿器科手術)を受けた患者 40名(男性 13名、女性 27名)を対象に、手術中脳波変化と術後痛の関連を後方視的に調べた。手術中脳波変化は手術開始時と終了時の前額部脳波をスペクトル及びバイコヒーランス解析し、各周波数帯域のパワー及びバイコヒーランス値の変化量を求めることにより評価した。術後痛は、術後1日目の痛みの程度を Numerical Rating Scale(NRS)を用いて評価した。NRS 4以上を中等度以上の術後痛ありと定義した。40名中9名に中等度以上の術後痛を認めた。硬膜外麻酔は術後痛あり群で5名 (56%)、術後痛なし群で17名(55%)に行った。術後痛あり群と術後痛なし群間で、年齢(68 ± 21 vs 65 ± 14歳、P = 0.744)、手術時間(266 ± 142 vs 349 ± 181分、P = 0.172)に有意差を認めなかった。術後痛あり群と術後痛なし群で各周波数帯域の脳波スペクトル解析値の変化は以下のようになった。α帯域:0.16 ± 1.74 vs -0.45 ± 2.41 dB (P = 0.426)、θ帯域:-0.01 ± 0.92 vs 0.60 ± 2.47 dB (P = 0.302)、δ帯域:-0.68 ± 1.42 vs -0.01 ± 2.61 dB (P = 0.348)。またバイコヒーランス解析値の変化は以下の様になった。α帯域:-0.65 ± 9.23 vs -1.11 ± 12.9% (P = 0.910)、θ帯域:-0.67 ± 4.29 vs 1.22 ± 4.32% (P = 0.745)、δ帯域:-3.52 ± 8.18 vs 1.66 ± 9.30% (P = 0.136)。現時点で、術後痛あり群と術後痛なし群の間で脳波変化に有意差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症の影響に実験計画に遅延を生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
脳波変化と術後急性痛の関連について、交絡因子を調整して評価できるよう引き続き、症例数を増やす。また、術中脳波変化と遷延性術後痛の関連についても評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の影響により実験計画に遅れが生じ、次年度使用額が生じた。次年度使用額は消耗品として使用する予定である。
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