術前検査として、適応がないにもかかわらず心エコー検査が過剰に実施されている現状にある。過剰な検査は、日常診療を逼迫する可能性がある。しかしこの問題に対して、過剰な術前検査がどの程度実施されているかは未だ明らかではない。本研究では、「術前心エコー検査の適正利用に関する戦略的研究の推進」という 学術的な目的に対し、段階的に研究を推進し、健康保険組合のレセプトデータベースを用いて術前心エコー検査の頻度および施行因子の探索を行う。 本邦における術前心エコー検査の実態に関する研究は、2019年5月の日本麻酔科学会第66回学術大会で「本邦における術前検査の疫学調査:レセプトデータベースを用いた大規模観察研究」として研究成果の一部を発表した。 関連する研究として、麻酔方法を正確に分類する手法を開発するために、帝王切開手術をうけた集団を対象としたサブコホートを作成して研究を推進した。2022年6月に日本麻酔科学会総会にて「診療報酬請求データを用いた帝王切開術における麻酔管理方法の分析:後向き観察研究」として研究成果を発表し、最優秀演題賞を受賞した。 現在は研究成果の論文化を進めている。一部は、"Current Epidemiology of the General Anesthesia Practice for Cesarean Delivery Using a Nationwide Claims Database in Japan: A Descriptive Study"として英文学術誌に採択され公表した(J Clin Med. 2022;11:4808) 。
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