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2021 年度 実施状況報告書

ボリュームカプノグラム分析を用いた肺内シャントの検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K17840
研究機関長崎大学

研究代表者

荒木 寛  長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20866272)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードボリュームカプノグラム / 肺内シャント / ARDS
研究実績の概要

肺内には含気を有する肺胞と有さない肺胞が混在し、人工呼吸器管理中には含気を有さない肺内が増える。含気のない肺胞に肺血流が存在する場合、ガス交換に与らず、これを肺内シャントと呼ぶ。肺内シャントの多くは無気肺として存在する。無気肺の検出には胸部単純X線写真や超音波が有用であるが、肺内シャントの程度を正確に知ることはできない。加えて、人工呼吸器管理中には肺の状態が刻一刻と変化するため、前出の検査では検査時点での状態のみの把握に留まってしまう。また、近年COVID-19による重症肺炎において肺内シャント率が高い症例は死亡率が高かったという報告もある。COVID-19をはじめとする急性呼吸窮迫症候群の予後改善のため腹臥位療法が有用とされているが、その効果のモニタリング方法としても肺内シャント測定が有用と考えられる。しかし、肺内シャントの正確な測定には肺動脈カテーテルの挿入が必要となり高侵襲である。そのため肺内シャントをより簡易に計測する方法が求められている。
2021年度はボリュームカプノグラムを用いた肺内シャントの計測方法を確立するため、ブタを人工呼吸器管理とし、スワンガンツカテーテルを用いた肺動脈の混合静脈血と、肺静脈からの採血により肺内シャント計測し、ボリュームカプノグラムによる計測方法との比較を検討する計画であった。ボリュームカプノグラムを使用することで理論的には肺内シャントを連続的に測定することが可能と考える。しかし、2020年4月よりCOVID-19への臨床業務従事のため実験期間を設けることが困難であった。動物実験の早期開始を目指している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2020年4月よりCOVID-19への臨床業務従事のため実験期間を設けることが困難であった。

今後の研究の推進方策

研究実施が遅れているが、COVID-19が落ち着き次第研究を再開できるため、いつでも再開できるよう準備を整えておく。具体的な研究内容は人工呼吸下のブタにボリュームカプノグラム分析と肺動脈カテーテルを用い、ボリュームカプノグラム分析での肺内シャント率の測定方法を確立する。
また、関連する臨床研究も並行して行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

動物実験の進行に遅延が生じており、また、新型コロナウイルス感染症の流行により学会参加ができなかったことが次年度使用額が生じた要因である。2022年度に遅延を取り戻すため従来の計画に2021年度分を合わせた計画を策定し研究を推進する予定である。実施予定としていた動物実験を次年度に実施するため、実験用器具(スワンガンツカテーテル)・薬剤を購入する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Hemorrhagic complications and thromboembolism during anticoagulant therapy in a coronavirus disease patient2021

    • 著者名/発表者名
      Araki Hiroshi, Sekino Motohiro, Akabame Shogo, Yamanashi Hirotomo, Egashira Takashi, Yano Rintaro, Matsumoto Sojiro, Fujita Ayumi, Tashiro Masato, Tanaka Takeshi, Izumikawa Koichi, Yanagihara Katsunori, Ariyoshi Koya, Hara Tetsuya
    • 雑誌名

      Medicine: Case Reports and Study Protocols

      巻: 2 ページ: e0055

    • DOI

      10.1097/md9.0000000000000055

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Absent right superior vena cava with persistent left superior vena cava in a patient with COVID-19.2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Araki, Motohiro Sekino, Naoya Iwasaki, Miki Suzumura, Takashi Egashira, Rintaro Yano, Sojiro Matsumoto, Ushio Higashijima, Takashi Sugimoto, Hirotomo Yamanashi, Tetsuya Hara
    • 雑誌名

      Journal of artificial organs

      巻: - ページ: 1-4

    • DOI

      10.1007/s10047-021-01290-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Removal of a catheter mount and heat-and-moisture exchanger improves hypercapnia in patients with acute respiratory distress syndrome2021

    • 著者名/発表者名
      Takaya Shimoda, Motohiro Sekino, Ushio Higashijima, Sojiro Matsumoto, Shuntaro Sato, Rintaro Yano, Takashi Egashira, Hiroshi Araki, Iwasaki Naoya, Suzumura Miki, Ryo Koyanagi, Makoto Hayashi, Shintaro Kurihara, Tetsuya Hara
    • 雑誌名

      Medicine

      巻: 100 ページ: e27199

    • DOI

      10.1097/md.0000000000027199

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Association between enterocyte injury and fluid balance in patients with septic shock: a post hoc exploratory analysis of a prospective observational study.2021

    • 著者名/発表者名
      Haruka Yokoyama, Motohiro Sekino, Hiroyuki Funaoka, Shuntaro Sato, Hiroshi Araki, Takashi Egashira, Rintaro Yano, Sojiro Matsumoto, Taiga Ichinomiya, Ushio Higashijima, Tetsuya Hara
    • 雑誌名

      BMC anesthesiology

      巻: 21 ページ: 293

    • DOI

      10.1186/s12871-021-01515-2

    • 査読あり
  • [学会発表] 出血および血栓塞栓症を合併し抗凝固療法に難渋した高度肥満COVID-19の一例2021

    • 著者名/発表者名
      荒木寛, 岩崎直也, 鈴村未来, 江頭崇, 矢野倫太郎, 松本聡治朗, 東島潮, 関野元裕, 原哲也
    • 学会等名
      第48回日本集中治療医学会学術集会
  • [学会発表] 体外式膜型人工肺の使用により救命できた羊水塞栓症の1例2021

    • 著者名/発表者名
      荒木 寛, 鈴村未来, 岩崎直也, 江頭崇, 矢野倫太郎, 松本聡治朗, 東島潮, 関野元裕, 原哲也
    • 学会等名
      日本集中治療医学会第5回九州支部学術集会
  • [図書] 救急・集中治療 Vol 33 No 2(2021) 輸液管理 2021-22 ーガイドライン,スタンダード,論点そして私見ー2021

    • 著者名/発表者名
      荒木寛, 関野元裕, 原哲也
    • 総ページ数
      298
    • 出版者
      総合医学社
    • ISBN
      9784883785704

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公開日: 2022-12-28  

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