研究課題
肺内には含気を有する肺胞と有さない肺胞が混在し、人工呼吸器管理中には含気を有さない肺内が増える。含気のない肺胞に肺血流が存在する場合、ガス交換に与らず、これを肺内シャントと呼ぶ。肺内シャントの多くは無気肺として存在する。無気肺の検出には胸部単純X線写真や超音波が有用であるが、肺内シャントの程度を正確に知ることはできない。加えて、人工呼吸器管理中には肺の状態が刻一刻と変化するため、前出の検査では検査時点での状態のみの把握に留まってしまう。また、近年COVID-19による重症肺炎において肺内シャント率が高い症例は死亡率が高かったという報告もある。COVID-19をはじめとする急性呼吸窮迫症候群の予後改善のため腹臥位療法が有用とされているが、その効果のモニタリング方法としても肺内シャント測定が有用と考えられる。しかし、肺内シャントの正確な測定には肺動脈カテーテルの挿入が必要となり高侵襲である。そのため肺内シャントをより簡易に計測する方法が求められている。2021年度はボリュームカプノグラムを用いた肺内シャントの計測方法を確立するため、ブタを人工呼吸器管理とし、スワンガンツカテーテルを用いた肺動脈の混合静脈血と、肺静脈からの採血により肺内シャント計測し、ボリュームカプノグラムによる計測方法との比較を検討する計画であった。ボリュームカプノグラムを使用することで理論的には肺内シャントを連続的に測定することが可能と考える。しかし、2020年4月よりCOVID-19への臨床業務従事のため実験期間を設けることが困難であった。動物実験の早期開始を目指している。
4: 遅れている
2020年4月よりCOVID-19への臨床業務従事のため実験期間を設けることが困難であった。
研究実施が遅れているが、COVID-19が落ち着き次第研究を再開できるため、いつでも再開できるよう準備を整えておく。具体的な研究内容は人工呼吸下のブタにボリュームカプノグラム分析と肺動脈カテーテルを用い、ボリュームカプノグラム分析での肺内シャント率の測定方法を確立する。また、関連する臨床研究も並行して行う予定である。
動物実験の進行に遅延が生じており、また、新型コロナウイルス感染症の流行により学会参加ができなかったことが次年度使用額が生じた要因である。2022年度に遅延を取り戻すため従来の計画に2021年度分を合わせた計画を策定し研究を推進する予定である。実施予定としていた動物実験を次年度に実施するため、実験用器具(スワンガンツカテーテル)・薬剤を購入する予定である。
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