術後せん妄は、手術侵襲に起因する脳内の炎症(神経炎症)が主病態であると認識されており、神経炎症の制御が術後せん妄の予防に寄与すると考えられている。われわれは神経炎症の制御を目的に、難消化性オリゴ糖(ラフィノース)投与による腸内細菌叢へのアプローチと、そにれによる術後せん妄の改善、予防を試みた。結果、高齢マウスにおいて、脳内の炎症性サイトカインに差は認められなかったが、ラフィノース投与群において血中ストレスホルモンの低下、セロトニンの上昇、腸内細菌叢の多様性の向上、せん妄様行動の改善を認めた。神経炎症の制御とは異なるセロトニンを介した機序により、術後せん妄を改善する可能性が示唆された。
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