研究実績の概要 |
当該年度は、大動脈弁狭窄症(aortic valve stenosis, AS)に対する経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic valveimplantation, TAVI)後における、急性腎障害(acute kidney injury, AKI) 早期診断バイマーカーの有用性を検証した。AKI診断は血清クレアチニン値と尿量の変動に決定付けられる。しかしながら、血清クレアチニン値の上昇は時間を要する為、診断遅延が問題視されている。AKIの病態の主体は、尿細管障害であると報告されており、腎虚血、炎症、線維化等によって起因すると報告されている。よって、血清クレアチニン値よりも早期上昇の報告があり、また、尿細管障害を反映する4 種のバイオマーカー(尿中 L-FABP、NGAL、Clusterin、TIMP2)について研究を進めている。まず、尿中 L-FABP、NGAL、TIMP2について解析を実施した。非AKI群とAKI群の2群間比較においては、L-FABP、NGAL、TIMP2共に有意な差を示した。中でも、尿中L-FABPは、血清クレアチニン値よりも早期上昇を示し、先行研究の再現性を示した。尿中L-FABP は、TAVI後のAKI早期診断バイオマーカーの有用性を示唆した。 当該年度の補助金は、研究に必要な消耗品や測定キット等の物品費に当てられ、研究計画は滞りなく進行した。
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