神経障害性痛の発現と維持のメカニズムは近年次第に明らかになってきているが、非常に病態が複雑であり、有効性の高い薬物が少ない。侵害受容ニューロンの損傷によって複数の神経系に多様な可塑化が惹起されるため、一旦病態が完成されると既存の治療に抵抗を示す。そのため、いかに神経障害性痛の病態の進行を抑制するかが重要であると考えられてきた。神経損傷後に産生されるフリーラジカルが神経障害性痛の初期の病態に関与していることが近年明らかになっているが、さらなる病態の悪化にも関与している可能性がある。今回、神経結紮により神経障害性痛を発現させたマウスに各段階で酸化ストレス関連阻害作用を有する薬剤を投与することにより、抗酸化作用により神経障害性痛の発現と維持のどちらの過程も抑制する可能性について検討し、明らかにしたい。
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