敗血症性心筋症は予後不良の合併症であり、その有効な治療法は存在しない。本研究では、リポポリサッカロイドを投与した敗血症マウスを用いて心筋β3アドレナリン 受容体(β3AR)の発現が増加する事を証明した。また、敗血症では過剰な一酸化窒素(NO)が産生される事で心筋代謝障害を引き起こすが、心筋β3ARは独自の一酸化窒素合成酵素(iNOS)を介したNO産生経路を持っている事がわかった。すなわち、敗血症での心筋β3ARを遮断する事で、過剰なNO産生を抑制し、これが心機能障害を抑制する事が示された。これらの結果から、β3AR遮断が敗血症性心筋症に対する新たな治療法につながる可能性が示された。
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