研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究内容は以下の通りであった。 C57BL6/Jマウス雄(6週齢) に対し盲腸結紮穿刺し7日間生存する敗血症マウスモデルを用いて、Day1、Day7の血液・便中のサイトカイン等を測定した。 Day1では、炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6, IFN-γ, IL-17)、抗炎症性サイトカイン(IL-4, IL-10, TGF-β)は増加した。一方大便中のIgAやCathelicidinは増加した。 Day7では、炎症性サイトカイン・抗炎症性サイトカインともに低下した。また便中に排出されるCathelicidinは減少した。 菌や毒素の侵入を阻止しようと腸管粘膜から管腔内にIgAが分泌されたため便中に増加したと考えられた。また腸管上皮細胞にあるcathelicidinの分泌は増加したため便中に増加したと考えられた。腸上皮細胞で発現するペプチドであるcathelicidinには、抗菌活性があることが報告されており、私たちの研究における糞便cathelicidinの増加は、急性期の腸内細菌科の増加など、微生物叢の変化に応じた抗菌分子産生の増加を反映している可能性がある。 また重症病態患者を対象に代謝産物の変化を調べた。対象は当科に入院し入院時に人工呼吸器管理を必要とする重症患者(敗血症、熱傷患者など )で 、来院時及び入院後の便を 採取した。健常人と比較し、Putrescine、2-Aminoethanol、Pyruvic acidは増加傾向であった。一方死亡例で上昇し生存例で減少する代謝産物としてUracilが確認された。
|