重症患者の睡眠脳波を測定するために、ポリソムノグラフィを用いて24時間の睡眠脳波を20名の患者に対して測定した。敗血症患者の睡眠脳波は多くの期間でN2を示しており、REMとN3ステージの欠如、頻回の覚醒を繰り返し、昼夜問わずこれらの睡眠脳波を示ししており、健康人とは大きく異なる睡眠段階を呈することが確認された。対象となった全ての患者において、鎮痛剤薬としてフェンタニルの投与がされており、麻薬性鎮痛薬による影響が懸念された。ミダゾラムやプロポフォールといった鎮静薬の影響やその他の環境的因子によって、重症患者の睡眠が障害されていることも考えられたため、騒音や採光に関する調査も合わせて行い、多方面から睡眠障害に関連する因子を検討している。 重症敗血症患者における睡眠障害の要因を探索するために、敗血症の急性期と回復後の睡眠状態を比較するための調査を追加で行っている。回復後の睡眠障害の要因を検討することによって、ICU退室後のメンタルヘルス障害への影響についての探索にもつながると考えられる。さらに、敗血症の重症度に関しても睡眠障害との関連性が示唆される報告もあり、IL-6やHMGB1などの炎症性サイトカインに関する調査も調査を行うことを検討している。また、引き続き、ICUにおける睡眠障害がICU退室後のせん妄等のメンタルヘルス障害との関連を検討するために、ICDSCなどを用いた追跡調査を実施することとする。
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