研究課題
若手研究
本研究によって、腸管虚血状態では小腸絨毛上皮が障害の首座であることに対して、再灌流障害では、それに加えて腸陰窩部分の細胞の障害が強いことが観察された。また、水素ガス吸入によって、小腸の組織障害の程度が軽減される組織造が観察された。また、再灌流によって障害されている細胞は腸幹細胞である可能性が高く、水素ガスの腸管虚血再灌流障害軽減作用は、腸幹細胞保護作用を介している可能性が示唆された。腸管虚血再灌流障害は特異的な薬剤治療は存在しないため、水素ガスが新規治療としての可能性を持つことが示された。
腸管虚血
腸管虚血は腸管壊死から敗血症、循環動態の破綻などを併発し、時に死亡する重症疾患である。壊死腸管を切除するという外科治療以外には、虚血の原因に対する治療を行い腸管虚血時間を短縮させるした有効な治療が存在しないが、虚血原因を取り除いた後も再灌流障害を引き起こし、時に腸管が壊死に至る。その再灌流障害に対する特異的や薬剤治療が存在しないなか、本研究は水素ガス吸入が新規治療として使用できる可能性を示した。今後、臨床研究によって新規治療薬が確立する可能性がある。