研究実績の概要 |
人工呼吸関連肺傷害モデルラットにおける内皮微小粒子(endothelialal microparicles: EMPs)の動態を検証した。高容量換気(20mL/kg)を4時間おこなうことでラットは肺傷害が惹起された。またVILIモデルラットでは酸素化の悪化および肺血管透過性の亢進を認め、血中のPECAM+EMPs, VE-cadherin+EMPs, ICAM-1+EMPs, VCAM-1+EMPsが増加した。また、肺血管透過性亢進の指標である肺乾湿重量比とEMPsとの間には強い相関を認めた。 人工呼吸関連肺傷害と自発呼吸の残存の影響を検証するために、筋弛緩薬を投与せずに高容量換気を4時間行った。経肺圧を測定するために食道内圧を測定したところ、筋弛緩薬を投与しなかったモデルでは、経肺圧(気道内圧-胸腔内圧)は筋弛緩薬より高い圧となった。また筋弛緩薬を投与しなかったラットはPECAM+EMPs, ICAM-1+EMPs, VCAM-1+EMPsは有意に上昇した。 また、人工呼吸関連肺傷害においては、肺胞の機械的過伸展による直接傷害にくわえ、その後における炎症反応による肺傷害(biotrauma)も重要である。抗炎症作用を有するセボフルランを1MAC,15分間吸入させたのちに高容量換気を4時間行い、biotrauama抑制におけるセボフルランのpre-conditioning効果を検証した。セボフルランの抑制により、PECAM+EMPsやVE-cadherin+EMPsは変化がなかったが、ICAM-1+EMPsおよびVCAM-1+EMPsは有意に低下し、biotraumaを軽減する可能性が示唆された。
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