研究課題
急性膵炎は膵内で病的に活性化された膵酵素による無菌的炎症であり、治療に難渋する疾患のひとつである。膵には浮腫、出血、壊死などの変化が生じ、膵内で活性化された膵酵素や好中球をはじめとする炎症細胞から二次的に産生された炎症メディエーターによるカスケード反応が増幅すると、それらが膵外に 溢流し炎症反応が膵外へ拡大する。本研究では膵炎における好中球の組織動態を調べその役割について検討した。12週齢のオスの好中球コロニー刺激因子ノックアウトマウス(G-CSFKO)と同腹仔コントロールマウス(Cont)に対し、セルレイン50µg/kgのDoseで1時間ごとに6回腹腔内投与を行うのを2日続けてセルレイン誘発性膵炎モデルを作成する。セルレイン投与後3,6,12,24時間,2日,3日、4日、1週間後にマウスを屠殺し組織学的に検討を行った。セルレイン投与1週間後生存率はCont 100%であったのに対しG-CSFKOでは10%とGCSFKOで有意に低下した。組織学的検討では、G-CSFKOにおいて出血が著明であり、炎症細胞の遊走が多く、炎症が遷延していることが確認された。G-CSFKOでは炎症の遷延が認められた。好中球による炎症急性期の組織のクリーンアップは慢性期に至る治癒に影響を与えることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
膵炎モデルを確立し、好中球の動態について調べることができているため。
内皮グリコカリックスの検討をすすめていく。
免疫組織化学用の抗体購入費が一部繰り越しとなったため
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