研究実績の概要 |
本研究では以下の3つに着目し実験をおこなう。1)敗血症における脂肪細胞でのオートファジー機能の評価のため、脂肪特異的Atg5KOマウスにLPSを投与し、エネルギー基質の供給や熱産生などの代謝動態、アディポサイトカインを評価する。2)敗血症における脂肪細胞でオートファジーが機能するメカニズム解明のため、LPS投与後の脂肪特異的Atg5KOマウスの脂肪組織を用いて網羅的蛋白解析を行う。3)敗血症における脂肪細胞でのオートファジー阻害メカニズム解明のため、LPSや炎症性サイトカインで脂肪細胞を刺激し、容量依存的にオートファジーが阻害されるかin vitro実験を行う。1)に関してAtg5KOマウスはLPS耐性があることがわかった。いくつかの炎症性サイトカイン、ケモカインの産生もAtg5KOマウスで低下していた。2)に関しては組織の評価ならびにLPS投与後の脂肪組織を対象にRNAseqをおこなった。3)に関しては3T3L1細胞を用いてオートファジーの阻害に関与している物質を同定したところ、TNF-αが脂肪細胞のオートファジーを阻害している可能性が明らかになった。 また敗血症病態における脂肪組織から産生されるサイトカイン(アディポサイトカイン)と炎症性のサイトカインの関連を明らかにするため、人敗血症患者の血清検体を用いて検討を行った。アディポサイトカインのうちレジスチンと向炎症性サイトカインであるIL-6、IL-8、抗炎症性サイトカインであるIL-10、ケモカインであるMCP-1は密接に関連し敗血症の病態に関与し、重症度や予後と関連していた(Ebihara, Takeshi, , et al. "Adipocytokine Profile Reveals Resistin Forming A Prognostic-Related Cytokine Network In The Acute Phase of Sepsis". SHOCK, vol. Publish Ahead of Print, February 17, 2021, doi: 10.1097/SHK.0000000000001756.)
|