ICU入室患者の上下肢神経筋電気刺激療法：筋力、代謝、長期予後に与える影響

2023 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20K17899
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 中西 信人 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (20793376)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 筋萎縮神経筋電気刺激療法 / 筋萎縮 / 超音波 / PICS

研究実績の概要

神経筋電気刺激療法の無作為化比較試験の結果でその有効性は既に報告した。そこで、神経筋電気刺激療法の有効性に関して我々の研究を含む複数の研究のメタアナリシスを実施した。18個の無作為化比較試験で解析が行われた。神経筋電気刺激装置の使用はICU-AWの発生を減少させることが示唆された、しかし神経筋電気刺激装置は疼痛を引き起こす可能性もあった。神経筋電気刺激装置は筋萎縮を予防して、筋力を増加させる可能性があった。一方で神経筋電気刺激装置の使用はICU入室期間、死亡率、QOLに影響を及さなかった。このメタアナリシスの結果から神経筋電気刺激療法が有効でるというエビデンス構築につながった。
さらに神経筋電気刺激療法の効果を適切に行うために超音波での上腕の筋厚測定が筋肉評価に有効であると報告した。さらに長期効果を検証するための取り組みとして、長期的な身体機能やADLをどのように評価するのがよいか日本集中治療医学会のPICS委員会の協力のもと検証を実施した。その結果、長期的な身体機能障害の評価には6分間歩行、握力、MRCスコアが有効、ADLにはBarthel Index、Instrumental Activities of Daily Living（IADL）、Functional Independence Measure（FIM）などが有効であると報告した。またPICS外来でのフォローアップの取り組みなども報告した。

研究成果

• [雑誌論文] Post-intensive care syndrome: Recent advances and future directions (2024)
  • 著者名/発表者名: Shigeaki Inoue, Nobuto Nakanishi, Fumimasa Amaya, Yoshihisa Fujinami, Junji Hatakeyama 5, Toru Hifumi, Yuki Iida, Daisuke Kawakami, Yusuke Kawai, Yutaka Kondo, Keibun Liu, Kensuke Nakamura, Takeshi Nishida, Hidenori Sumita, Shunsuke Taito, Shunsuke Takaki, Norihiko Tsuboi, Takeshi Unoki, Yasuyo Yoshino, Osamu Nishida
  • 雑誌名: Acute Med Surg 巻: 11 ページ: 929
  • DOI: 10.1002/ams2.929
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Effect of Neuromuscular Electrical Stimulation in Patients With Critical Illness: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials (2023)
  • 著者名/発表者名: Nobuto Nakanishi, Shodai Yoshihiro, Yusuke Kawamura, Gen Aikawa, Haruka Shida, Motohiro Shimizu, Yoshihisa Fujinami, Ayaka Matsuoka, Shinichi Watanabe, Shunsuke Taito, Shigeaki Inoue
  • 雑誌名: Crit Care Med 巻: 51 ページ: 1386-1396
  • DOI: 10.1097/CCM.0000000000005941
  • 査読あり
• [雑誌論文] Ultrasound-based upper limb muscle thickness is useful for screening low muscularity during intensive care unit admission: A retrospective study (2023)
  • 著者名/発表者名: Nobuto Nakanishi, Shigeaki Inoue, Yuko Ono, Jun Sugiyama, Kazushi Takayama, Yuta Arai, Kensuke Nakamura, Jun Oto, Joji Kotani
  • 雑誌名: Clin Nutr ESPEN 巻: 57 ページ: 569-574
  • DOI: 10.1016/j.clnesp.2023.07.089
  • 査読あり
• [雑誌論文] Instruments to assess post-intensive care syndrome assessment: a scoping review and modified Delphi method study (2023)
  • 著者名/発表者名: Nobuto Nakanishi, Keibun Liu, Akira Kawauchi, Masatsugu Okamura, et al.
  • 雑誌名: Crit Care 巻: 27 ページ: 430
  • DOI: 10.1186/s13054-023-04681-6
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] ICU入室時における超音波を用いた上腕筋厚測定はサルコペニア評価に有用か (2023)
  • 著者名/発表者名: 中西信人、高山和之、杉山隼、大野雄康、井上茂亮、小谷穣治
  • 学会等名: 日本集中治療医学会第７回関西支部学術集会
• [学会発表] スコーピングレビューとデルファイ会議によるPICS評価方法の推奨 (2023)
  • 著者名/発表者名: 中西信人、劉啓文、河内章、岡村正嗣、田中孝平、片山翔、中村謙介、近藤豊、井上茂亮、西田修
  • 学会等名: 第51回日本集中治療医学会学術集会
  • 国際学会 / 招待講演
• [図書] エキスパートが伝授する 早期離床・リハビリテーションの理論と実践 (2023)
  • 著者名/発表者名: 中村謙介
  • 総ページ数: 244
  • 出版者: 三輪書店
  • ISBN: 978-4-89590-804-7