研究課題/領域番号 |
20K17900
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
立岩 浩規 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (90614397)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2024-03-31
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キーワード | ICU-AW / 敗血症関連認知機能障害 / alpha-lipoic acid |
研究実績の概要 |
今年度は、α-Lipoic acid(ALA)の至適投与量および投与期間の検討を行った。まず過去の報告ではALAは生理食塩水に溶解の上、腹腔内投与を行っているものが散見されるが、実際には非常に脂溶性が高いため溶解は困難であった。そこで様々な溶媒を検討した所、Hydroxylpropyl-β-cyclodextrin(HP-β-CD)が非常に有用であった。HP-β-CDの濃度とALAの溶解量を検討した所、10%以上のHP-β-CDではあまり溶解用に差がなかったため、HP-β-CDは10%で用いる事とした。ALAの溶解量については5mg/mlが限界であったため、こちらの濃度で設定した。 続いて実際に健常ラットを用いて、ALA投与の安全性およびその効果について検討した。6-8週齢の雄性wistar系ラットに対して、介入群(n=2)では100mg/kgのALAを、対称群(n=2)では10%HP-β-CD溶液のみを7日間投与した。また投与前および投与3、5、8日目に採血を行い、また8日目には深麻酔下に断頭し、下肢の筋肉および脳(前頭前野および海馬)の摘出を行った。なお両群ともに死亡症例はなかった。 我々の仮説ではALA投与によって運動によって誘導される転写コアクチベーターであるPeroxisome proliferator-activated receptor-γco-activator-1α(PGC-1α)が増加し、また脳内での神経保護因子であるBrain-derived neurotrophic factor(BDNF)を増加させ神経保護作用をもたらすことが期待されており、今回摘出したサンプルを用いて、western blotおよびELISA法を用いて検討する予定としている。 また、今年度、開催された日本集中治療医学会学術集会で、最近のICU-AWの知見を踏まえたシンポジウムを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外留学に伴う研究の中断により、研究を連続的に行えなかったため。 また、研究室の移動に伴い、実験が制限されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ALAの至適投与量および投与期間を検討した上で、LPSによる敗血症モデルラットを用いて、ALAによって、ICU-AWおよび敗血症関連認知機能障害といったPICS(post intensive care syndrome)を予防する事が出来るか検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室の移転・改築に伴い、新規物品購入を控えたため、予定使用額との差が生じた。こちらについては購入予定であった物品を、次年度に購入し、実験を行う予定としている。
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