研究課題/領域番号 |
20K17903
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
加藤 秀哉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (30515284)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肺炎 / 緑膿菌 / 細胞外小胞 / ワクチン・抗体療法 |
研究実績の概要 |
日本の主な死因別死亡統計において、肺炎は第5位(7.2%:平成29年度)を占めている。この背景には、高齢化社会や医療の高度化に基づく免疫不全患者の増加、抗菌薬の汎用による多剤耐性菌蔓延が深く関わっている。これら肺炎の主な起炎菌には、緑膿菌に代表されるグラム陰性桿菌やMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが含まれる。 グラム陰性菌の一つである緑膿菌は、抗菌薬の汎用や高度先進医療の発達と相まって多剤耐性化が進み、しばしば集団院内感染の原因菌にもなり社会問題化している。 細胞外小胞の一種であるエクソソームは、約100nm前後の大きさで各種タンパクやmicroRNAが内包されており、細胞間伝達物質として知られている。エクソソームはヒトだけでなく、細菌からも分泌されることが明らかになっており、宿主細胞への傷害性だけでなく、免疫の賦活化という相反する働きも報告されて いる。我々は、緑膿菌由来のエクソソームの傷害性および内包されているタンパクの同定を行い、抗菌薬治療だけに頼らないワクチン・抗体療法の開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の大枠としては1. マウス緑膿菌性肺炎モデルの作成およびエクソソームの抽出 2. ナノサイト、フローサイトメトリーを用いたエクソソームの定量評 価 3. エクソソームの傷害性の評価 4. 内包されているタンパクの同定 5.遺伝子組み換えタンパクの精製を計画していたが、上記プロジェクトに関して概ね順 調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
マウス緑膿菌性肺炎モデルから抽出されたエクソソームをナノ粒子測定機器であるナノサイトNS300やフローサイトメトリーにより、エクソソームの収量・粒子 径を測定し定量評価を行う。その後エクソソームの傷害性の評価をマウスを用いた動物実験と細胞実験にて行う。エクソソーム中の内包タンパクの同定も併せて 行い、免疫ブロット法で存在を確認する。最後に緑膿菌由来エクソソームを各種アジュバントとともに、マウスに対しワクチンとして接種を行う。効果判定とし て、緑膿菌投与24時間後までの体温・生存率を測定し、その後肺浮腫、肺内・血中細菌数、各種サイトカイン等炎症パラメータも併せて測定する。またすでに効 果が得られているV抗原(PcrV)ワクチンとの併用療法についても検討を行い、その効果を確認 していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの実験では、研究室の機器や備品で充足できた。今年度以降は主に動物実験の費用に充てる予定である。
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