研究課題
本研究はペリサイトを中心に,熱性けいれん(FS)によるてんかん原性に対する免疫学的機序の関与を検討した.主な実験は(A)ペリサイトマーカー解析,(B)フローサイトメトリー(FACS),(C)サイトカイン/ケモカインの網羅的解析を行った.令和2-4年度に実施した(A)-(C)の結果をまとめる.(A) ペリサイト関連因子であるPDGFRβ/CD13/BMPを測定し,併せてDAMPsに関連したHMGB1/BDNF/VEGFと比較した.結果は中枢神経感染症,難治性てんかんのうち有熱性けいれん後に神経学的後遺症を有した群でPDGFRβ/HMGB1/BDNF/VEGFが有意に上昇していた.(B)FACSにて末梢血単核細胞のLPS刺激によるサイトカインの反応性の違いを解析した.(1)複雑型FSで発作前後の検体で評価したところ,発作後に速やかにIL-1βが低下した.(2)発達性てんかん性脳症(DEE)の代表である,乳児てんかん性スパズム症候群(IESS)を各病相で評価した.CD8陽性T細胞であるIL-1β/IL-1RA陽性単球およびIFN-γの割合が,非けいれん性疾患群よりも有意に上昇していた.(C)FS群/てんかん群/非けいれん性疾患群に対して,血清/血漿/髄液検体でサイトカイン解析を実施したところ,PDGF-BB/VEGF/IL-1β/IL-6がFS(特に複雑型)群とてんかん群で上昇していた.令和5年度はFSとDEEの発症機序における,ペリサイト関与の差異を確認した.IESSを中心としたDEEを対象としてペリサイト解析/サイトカイン解析を進めた.DEE群は非けいれん性疾患群と比較してCD13が有意に上昇し,PDGFRβが低下していた.以上から,ペリサイト関連因子は特定のサイトカイン群と相互的に動き,FSを含めたけいれん性疾患における血液脳関門の脆弱性や神経炎症に関与すると考えた.
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