研究課題/領域番号 |
20K17913
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
岡部 浩太 久留米大学, 医学部, 助教 (70840023)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | SOCS3 / 心室性不整脈 / 心筋梗塞 |
研究実績の概要 |
本研究では、心筋細胞において心筋保護、慢性炎症や線維化などの病態に深く関与するSTAT3やその制御因子であるSOCS3に着目し、平滑筋細胞特異的なSOCS3のノックアウトマウスに、心筋梗塞モデルを作成し、虚血性心筋傷害の病態におけるJAK/STAT3/SOCS3経路の役割を明らかにし、虚血性心筋傷害と心臓突然死の病態の解明すること、ならびに新たな治療法開発の基盤となりうる知見を見出すことを目的に本研究を進めている。 平滑筋細胞特異的遺伝子欠損マウスにおける心筋梗塞モデルの解析 平滑筋細胞特異的にSOCS3を欠損させたマウス(smSOCS3-KOマウス)の恒久的心筋梗塞モデルでは、野生型マウス(WTマウス)に比べ、心筋梗塞発症24時間以内の心室頻拍から心室細動へ至る致死性不整脈が生じることが観察された。一方で、WTマウスでは頻脈性不整脈は生じず、術直後死亡例では徐脈からの心停止を認めた。このことから、平滑筋細胞のJak/STAT経路とその制御分子であるSOCS3が、心筋梗塞後の致死性不整脈の発症、突然死や心破裂に重要な働きを持つ可能性が示唆されている。また、術後2週間以内の死亡例ではsmSOCS3-KOマウスでは心破裂は生じず、心臓組織では線維化の著名な亢進を認めている。心筋梗塞急性期から亜急性期の突然死の原因検索のためにテレメトリーシステムを用いた不整脈の検出については進行中であり、サンプル数は少ないものの、心筋梗塞作成後2週間以内でKOマウスにおける致死性心室性不整脈の出現を確認した。現在、再現性を確認中であり、再現性を得られたのちに、分子学的分析を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SARS-Cov2感染症の拡大に伴う臨床業務の拡大があり、エフォート率が減少しているため。
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今後の研究の推進方策 |
術後2週間以内の死亡例ではsmSOCS3-KOマウスでは心破裂を伴わない死亡を認めており、現在までのデータでは致死性不整脈の出現による死亡を強く疑っている。テレメトリーシステムを用いた不整脈の検出を進め、致死性心室性不整脈の出現の再現性を確認する予定である。再現性を得られたのちに、分子学的分析を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行の遅滞が生じており、研究期間を2年から3年に延長したため、次年度使用額が生じている。次年度は分子学的解析を行う予定であり、各種試薬等の購入等に充当する予定である。
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