研究課題/領域番号 |
20K17914
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
中島 啓裕 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員研究員 (50796141)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機械学習 / 院外心停止 / 気象データ / 予測モデル |
研究実績の概要 |
2020年度は、日本の院外心停止レジストリデータと気象情報の入手に着手し、機械学習を用いてそれらの突合データを解析し、院外心停止と気象条件の関係性を調べ、日内平均気温、日内気温差および前日との気温差が院外心1日の停止数と関連があることを解明した。過去の研究では、低い日内平均気温のみが心停止のリスクと関連性があることが報告されていたが、日内平均気温と院外心停止発症件数の関係性はU字曲線であることが新たに示された。これらの解析を元に機械学習による院外心停止予測モデルを作成し、暦データも考慮することで都道府県単位で90%の高精度で院外心停止数を予測することに成功した。本モデルは今後、心停止高リスク日の情報提供システムを用いた市民への啓発や近年の気象変化の心停止数に対する影響の予測に役立つ可能性が期待される。これらの成果は査読付き英文誌より公表された(Takahiro Nakashima et al. Heart 2021;107:1084-1091.)。 2021-2022年度は、米国の院外心停止データと気象情報を用いて本予測モデルの妥当性の検討を行った。米国の院外心停止データは、日本の院外心停止データと比較して粒度がより細かくcounty単位で解析できるという利点がある。米国版では地理的条件もモデルに加えることで、日本版予測モデルと同等の予測精度を実現できた。現在、本結果を論文にまとめ査読付き英文誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本版の予測モデル論文は出版済であり、米国版の予測モデル論文は投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点において、気象情報を用いた院外心停止予測モデルは高精度で日本および米国において、県および州単位で一日の心停止患者数を予測できた。今後は、予測範囲の粒度を向上させることで医療圏単位で高精度に予測できるように改良を行い、実装化を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により研究が遅れたため。
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