58症例の中枢神経胚細胞腫に対してRNAシークエンスを行い、ジャーミノーマと非ジャーミノーマが明確に異なる発現を示すこと、非ジャーミノーマはM2マクロファージを含む多くの免疫細胞の浸潤が疑われること、また精巣の胚細胞腫と発現・メチル化において相同であることを示した。2022年のNeuro-Oncology誌に第一著者として報告した。腫瘍マーカーの臨床的位置づけは定まっておらず、日本のiGCTコンソーシアムからの122症例とアメリカメイヨークリニックの40症例を用いて腫瘍マーカーと組織型の比較解析を行った。その結果、ジャーミノーマや奇形腫でも腫瘍マーカーの上昇が多く見られ、腫瘍マーカーだけで治療方針を決めることの可能な欧米の治療方針に疑義を投げかけることになった。Cancers誌に2022年に第一著者として報告した。また82症例においてメチル化解析を行い、コピー数異常を網羅的に解析した。その結果、12p増幅が最も頻度の高いコピー数異常であり、12p増幅と組織学的に非ジャーミノーマであることの強い相関が見られた。また12p増幅がある症例は非ジャーミノーマの中でも予後が悪いことが統計学的に示され、これらの結果を2021年のNeuro-Oncology誌に共同第一著者として報告した。またジャーミノーマにおける腫瘍免疫細胞の多い症例は予後が良いことを発見し、Neuro-Oncology Advances誌に2021年に報告した。これらの結果が評価され、2020年に脳腫瘍学会での星野賞、2020年に間脳下垂体学会賞、2021年、2022年に腫瘍学会でのTop scoring abstract賞、2021年に脳神経外科学会にて研究奨励賞を受賞することができた。
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