研究課題/領域番号 |
20K17930
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
王 登莉 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (40815693)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳出血 / HMGB1 / 抗体治療 / マーモセットモデル / コラゲナーゼ |
研究実績の概要 |
本研究では霊長類マーモセット脳出血モテルにおけるヒト化抗 HMGB1 抗体の効果の確認と血腫吸収メカニズムの解明を目的とした。 脳出血後の遺伝子発現解析のため、炎症因子(IL-1β、TNF-α、iNOS、COX-2) が、リアルタイム PCR によって血腫周辺サンプルを用いて検出した。その結果、脳出血後、炎症因子の発現が認められたが、ヒト化抗 HMGB1 抗体の末梢投与によって著明に抑制された。ヒト化抗 HMGB1 抗体は脳内の細胞死(apoptosis)を抑制することも明らかにした。また、in vitroの実験で、flow cytometryを用いて、HMGB1と血腫吸収のメカニズムを検討した。その結果、マクロファージにHMGB1を添付した場合、血液由来成分のヘモグロビンの取り込みは抑制された。つまり、脳出血後脳内放出したHMGB1は血腫吸収に抑えると推測している。脳出血12日後に脳を取り出し免疫染色や鉄染色(プルシアンブルー染色)を実施した結果、酸化ストレスマーカーである4-HNEは主に脳内の神経細胞とミクログリアに集積することが分かり、ヒト化抗 HMGB1 抗体投与群はコントロール群より4-HNEの発見量が少ないとともに脳内の鉄沈着も少なかった。 上記については既に論文化のための原稿を作成し、現在投稿中である。また、2022年3月に行われた、第95回日本薬理学会年会で研究成果の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
既に、論文原稿を作成し、投稿済みである。 国内学会ではあるが、脳卒中に関する大規模の学会で、発表済みである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定よりも順調に進んだため、下記の追加での解析を行う予定である。 採取した組織を免疫染色で脳内血腫吸収に関するタンパク(Haptoglobin、Hemopexin、CD163, CD91)とHMGB1の関連性を調べる。in vitro実験では、脳神経細胞からのHMGB1の放出と血液由来成分(トロンビン、ヘモグロビン、ヘム、鉄イオン)との関係も分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品等について、当初の見積もり額よりも安価に実施することが出来た。また、コロナ禍で学会の出張がなくなり、繰り越しの金額は、翌年度に購入予定だった物品購入費にあてる。
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