研究課題
当初RCAS/Tv-aシステムを用いた脳腫瘍モデル作成を試みていたが、マウスの飼育環境、繁殖の問題があり、脳腫瘍モデルの変更を検討している。つまり、悪性グリオーマ細胞株を用いて脳幹に定位的に注入したマウス脳腫瘍モデル作成を試みている。また、RCAS/Tvaシステムを用いた脳腫瘍モデル作成についても実行可能かどうか引き続き検討を行う予定である。Ad-SGE-REICを用いた実験に関しては、当研究室でAd-SGE-REICとbevacizumabの併用に関する基礎実験を行い、その結果を論文にして、submitしたところである。具体的にはAd-SGE-REICとベバシズマブで併用により、invasion assayで浸潤細胞数を、グリオーマ幹細胞に対してはsphere形成能を有意に減少させた。ウェスタンブロットにおいては、ベバシズマブとAd-SGE-REICの併用により、小胞体ストレスマーカーの発現が増加し、β-cateninタンパク質の減少が見られた。また、アポトーシスマーカーの発現も併用療法を行った細胞で増加していた。悪性神経膠腫マウスモデルを使用したin vivo実験では、併用療法群で全生存期間が延長された。腫瘍組織を免疫染色で詳細に検討すると、腫瘍血管の数、および浸潤細胞の数が、単独療法と比較して併用療法で有意に減少していることがわかった。これらの結果から、Ad-SGE-REICとbevacizumabの併用療法は、腫瘍の血管新生と浸潤を抑制することにより抗腫瘍効果を発揮することが示唆された。また研究代表者が米国で行っていたOlig2発現前駆細胞をターゲットにしたびまん性橋膠腫モデルに関する研究結果を論文にして、アクセプトされた。
4: 遅れている
マウス脳腫瘍モデルの変更に関して、代わりのマウスモデル作成の考案や準備に時間を要した。また、先行研究の論文作成に時間を要した。
RCAS/Tv-aシステムを用いた脳腫瘍モデル作成についても引き続き検討を行う。当初の令和3年度の計画 であった生存期間延長効果の検討を令和4年度の計画に繰り越す。令和4年度の計画であった1) 生存期間延長効果の検討の続き 2) 組織学的検討 3) 遺伝子学的変化の検討は引き続き進める。
令和3年度は、物品費(消耗品費)において、予定額よりも安価に購入ができたために次年度への使用額が生じた。繰越額は物品費(消耗品費)に引き続き充てる予定である。
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