研究課題/領域番号 |
20K17932
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森垣 龍馬 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (70710565)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ストリオゾーム / 不随意運動症 / ジストニア / ハンチントン舞踏病 / パーキンソン病 / 線条体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、不随意運動疾患の異常が線条体ストリオソーム分画の異常に基づくものであり、ストリオソーム分画の異常を修正することでその疾患を治癒できると証明することである。前年、q175ハンチントン病モデルにて、u-opioid受容体 (MOR)の発現は線条体ストリオソーム分画にて月齢に応じて進行性に上昇していることを報告したが、その他様々な分子が脳線条体ストリオソーム内で変化を起こしていることを発見し、現在報告準備中である。さらに同様の研究を6-OHDAパーキンソン病モデルマウスでも行い、不随意運動症と脳線条体ストリオソーム分画の異常が、パーキンソン病のジスキネジアと関連を持つ可能性が見出し、検討中である。また、前行性アデノ随伴ウィルスベクター(AAV-DJ-CMV-hfGFP)を用いたストリオームに入力する皮質領域を決定する神経トレーシング研究を続行中である。こちらの研究は難航しているが、両側にGFP、mCherry標識のアデノ随伴ウィルスベクターを投与することで、作業の効率化を図り、検討中である。 小脳にNa+ポンプ阻害剤であるウアバインを持続注入ポンプにて持続投与するジストニアモデルを確立し、ドパミン受容体拮抗薬による症状の改善を検討している。小脳性ジストニアであっても、ドパミン受容体拮抗薬による症状の変化が認められ、小脳性ジストニアにおいても、大脳基底核回路が関与している可能性を検討中である。また、現在ストリオソームを効率よく刺激する方法の実験を行っており、これによる運動症状の変化と、線条体ストリオソーム分画の変化を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ウィルスベクターを用いたトレーシング研究はターゲットが小さいこともあり、難航している。またコロナウィルス蔓延下にて、様々な影響のため、思うように研究を行うことが困難であった。現在は、効率を考え、両側にそれぞれGFP、mCherryを標識したアデノ随伴ウィルスベクターを投与し、線条体での発現を引き続き観察している。そのほか、随伴する研究として、小脳性ジストニアモデルの投薬実験は予定通り進んでおり、またハンチントン病モデルマウスの線条体組織の解析は大方終了した。
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今後の研究の推進方策 |
アデノ随伴ウィルスベクターを用いたトレーシング研究にて、ストリオソームに接続する皮質領域の同定を引き続き行う。先に示したように、両側の手術を行うことで、効率化を測る。また平行して同定部位の電気刺激を行い、こちらも効率よく行いたい。これにとって、ストリオソーム分画の神経細胞の活性化と運動異常の発症を観測する。さらに、引き続きオプトジェネティクスを用いた研究でも同様の結果が得られるかどうかを検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究がコロナウィルス蔓延による社会的事情や、アデノ随伴ウィルスによるトレーシング研究がうまく進まなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせ、研究を加速させて昨年度分も合わせた研究を行う。具体的には、研究が中断するリスクを最小限にするように、研究計画の効率化を図る。研究中断のリスクに対し、時間的損失が最小限になるように、可能な限り配慮して研究を行っていく。
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