小脳性ジストニアモデルマウスにおいて、線条体からの直接路、間接路の解剖学的下流に存在するentpeduncular nucleus (EPN)・globus pallidus externus (GPe)、および線条体parvalbumin (PV)陽性介在ニューロンにおけるc-fos陽性細胞数は顕著に増加していることを発見した。PV陽性介在ニューロンの活性化によるドパミン神経細胞抑制が、EPN、GPeを脱抑制し活性化させるものと推定された。次にドパミン受容体モジュレーターによる小脳性ジストニアの症状の変化を確認した。下流の活性化状況から、ドパミンD1アゴニストおよびドパミンD2アンタゴニスト単独、または両方を使用したが、いずれの投与でも改善は乏しかった。小脳性ジストニアが難治であることと関連している可能性も示唆された。論文を投稿中である。 一方、ストリオソームの解剖学的に上流にある皮質領域の同定するため、前行性アデノ随伴ウィルスベクターを用い、ストリオームに入力する皮質領域を決定する神経トレーシング研究を行った。マウス脳においては皮質領域分画が小さく同定は難航しているが、作業を継続中である。同部位を刺激することでジストニア症状が起こるのか観察する予定である。 ジストニアを含む不随意運動を示す疾患としてハンチントン病がある。この疾患モデルマウスにおいても線条体ストリオソームに異常があるのかどうか検討した。q175ハンチントン病モデルにて、u-opioid受容体の発現は線条体ストリオソームにて月齢に応じて進行性に上昇していた。また、deep learningを用いたアルゴリズムにてストリオソーム分画の免疫組織学的な変化を客観的に評価する方法を開発し、その他様々な分子が脳線条体ストリオソーム内で変化を起こしていることを発見し報告準備中である。
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