研究課題/領域番号 |
20K17941
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
荒井 孝至 東京女子医科大学, 医学部, 医療練士研修生 (10840077)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 再生医療 / 脳梗塞 / ラット / 間葉系幹細胞 / 細胞シート / てんかん / 脳血流 |
研究実績の概要 |
我々の研究は、すでに動物実験にて実証した「脳梗塞モデルラットに対する間葉系幹細胞シート移植の有効性」の更なる発展である。具体的には脳梗塞でなく脳虚血モデルラット(脳梗塞にまで至っていない脳血流貧困状態)を作成し同様に間葉系幹細胞シートを移植し有効性を確認することである。また、安全性の評価として間葉系幹細胞シート移植によって、てんかん発生につきどのような変化が現れるのか確認する。 脳虚血状態モデルラットの作成において、脳血流測定機器は必須の検査機器であるためMoor FLPI-2(非接触型遠赤外線血流測定装置)をレンタルして使用することとした。脳虚血モデルラットの作成方法は確立された報告はまだない。我々は頭蓋骨を薄く削り、同部位に観察窓を設置することにより経時的に脳血流を測定することを可能とした。結果は総頸動脈を結紮することにより脳血流が40%程度減少することが確認できた。しかしラットはヒトと比べて側副血行路が良好であることがすでに周知されているが、我々の実験でも施術後1週間程度で脳血流が元通りまで改善することが分かった。現在、脳虚血状態の期間延長する方法につき模索中である。現在はSDラットで実験をしているが、Wisterラットの方が脳虚血に対して耐性がないことが最近報告されたので、ラットの種類の変更、対側の頸動脈も血流を減少させるなどして実験データ収集中である。 てんかん発生の評価に関しては脳波ロガー装置を購入し、実験ラットにおいて脳波測定が安定して行えることを確認した。脳梗塞モデルラット、脳虚血モデルラットの間葉系幹細胞シート移植群と非移植群において脳波測定するのはこれからであるが、移植群では脳梗塞の範囲が有意に減少することがすでに実証できているため移植群の方がてんかん波が減少することを期待している。(ヒトでは脳梗塞の面積とてんかん発症リスクが正の相関関係にあるため)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳虚血状態ラットを作成するのに時間を要した。当初は頭蓋骨を外し脳表を露出させた状態で観察窓を設置し、経時的に脳血流を測定できるように試行錯誤したがどうしても脳組織が傷み血流測定において支障をきたしてしまうため頭蓋骨をegg shell状に薄く残すように削ることで脳の状態を綺麗に維持したまま脳血流を経時的に測定できることに成功した。また、てんかんの評価については脳波測定機器が海外性であるため昨今のコロナの影響で輸入時期に影響を来したため実験に遅れを来すこととなった.
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今後の研究の推進方策 |
脳梗塞モデルラット、脳虚血モデルラットに間葉系幹細胞シートを移植し有効性を確認するのと同時にてんかん波の発生につき評価する。 3ヶ月を目処に移植群と非移植群10匹ずつを目安に実験し評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定で考えていた血流測定装置はレンタルできる事が判明したためそうする事により大幅に費用の削減をする事ができた.
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