研究実績の概要 |
今回の研究では脳動静脈奇形(AVM)の形成過程における遺伝子発現やmiRNA発現の経時的変化について、申請者らが発見したin vivoウサギ血管新生モデルとヒトAVM切除検体の両者での遺伝子発現解析およびmiRNA発現解析を行い、それらの統合的に解析することでAVMの発生と発達に関与する有意な分子異常の同定を目指すことを計画した。 以下に本研究で行ったウサギとヒトAVM検体での研究の成果について記載する。 ①ウサギAVMモデルでの遺伝子発現およびmiRNA発現の経時的解析 ウサギAVMモデルを経時的に作成し、cDNAマイクロアレイ解析およびmiRNA発現解析を行った。研究計画の通り、解析はControl, 3, 7, 14, 28, 84の6群で行った。現在はデータ解析を行っている最中である。その中には血管新生に関与する遺伝子が多数見られるとともに、新生血管が時間経過とともに一般的な動脈および静脈の遺伝子発現に近づいていくことが明らかとなった。現在はその中のいくつかの遺伝子をピックアップして、validation作業を行っている。 ②ヒトAVM凍結標本での遺伝子発現解析およびmiRNA発現解析 ヒトAVM凍結標本での遺伝子発現解析およびmiRNA発現解析を行う計画であり、秋田大学附属病院および北里大学附属病院、秋田県立循環器・脳脊髄センターの3つの機関でのAVM凍結標本の収集を行った。新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、現在までに収集できた症例数は3例と見込みよりも大幅に少なかった。3例のうち、2例でRNA-seq解析およびsmallRNA-seq解析を行った。現在はデータ解析を行っている。今後はウサギAVMモデルと共通する遺伝子を同定し、それらが過去のAVM標本にも共通するのかについて検証していく予定である。
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