研究課題/領域番号 |
20K17958
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
神尾 佳宣 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10829716)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 鉄集積 / 鉄制限食 / 脳動脈瘤破裂 |
研究実績の概要 |
脳動脈瘤と鉄沈着との関係について高血圧症や糖尿病などのsystematic inflammationが引き起こされると鉄の十二指腸からの吸収が亢進して組織内に鉄の集積が引き起こされる。そして2価鉄イオンは3価鉄イオンに酸化される際にフェントン反応によりヒドロキシルラジカルを発生し、鉄イオンによる組織障害の原因とされている。さらに鉄イオンをマクロファージが貪食してマクロファージ内で2価鉄が蓄積しフリーラジカルの産生が亢進すると考えられている。我々はこのメカニズムに着目して鉄の集積が脳動脈瘤へ悪影響を及ぼしていると仮定した。今回の研究では脳動脈瘤壁に沈着する鉄イオンがフリーラジカルを発生させて組織障害を引き起こすと考えられるため、まず脳動脈瘤壁への鉄沈着を抑制するために、マウス脳動脈瘤モデルを用いて食事を鉄制限食に切り替えて通常食との2群間で脳動脈瘤形成および破裂に関する比較を行いました。実験結果として脳動脈瘤形成は2群間比較では通常食群と鉄制限食群では有意な差は認めなかった(通常食群 vs 鉄制限食群: 68% vs 69%)。一方で脳動脈瘤破裂に関しては鉄制限食群において有意に破裂を抑制することを示した(通常職群 vs 鉄制限食群:76% vs 37%)。以上より高血圧など全身性の炎症を惹起しやすい環境においては鉄摂取を制限することで血清鉄を下げ、脳動脈瘤破裂抑制に寄与していることを示唆していると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍において鉱質ステロイドとして高血圧誘導に用いているDOCAペレットがアメリカから入手が遅れていることで実験自体が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
実験結果は仮説に一致していると解釈されるため、次の実験計画として鉄キレート剤をマウスに投与することで脳動脈瘤形成、破裂に影響を与えるか検証を行なっていく。また同時に脳動脈瘤組織を取り出して脳動脈瘤壁周囲の鉄沈着および酸化ストレスを免疫染色で確認していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において実験使用するDOCA ペレットがアメリカから購入が遅延していたため。
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