これまでDpcdKOによる繊毛運動異常は内腕ダイニンの欠損によるものと報告されていた。我々の研究の結果、内腕ダイニンは完全欠損しておらず一部の発現が低下していることが示唆された。さらに内部構造の把握を進めるため、脳室繊毛の単離に取り組んだ。これまでに脳室繊毛の単離に成功した報告はなく極めて新規性が高いものである。我々は内部構造把握にはクライオ電子顕微鏡による3D画像の取得が重要と考え、これに耐える濃度の繊毛水溶液作成に取り組んだ。その結果、十分な濃度の繊毛水溶液を作成し、クライオ電子顕微鏡観察に成功している。今後繊毛運動に由来する脳疾患の研究に役立つものと期待される。
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