研究課題
テネイシンCノックアウトマウスと野生型マウス(メス:20-25g)をそれぞれsham群とくも膜下出血群の2群づつの計4群にランダムに分け、Stroke Therapy Academic Industry Roundtable(STAIR)が提唱する動物実験指針に準じ、評価項目は全て盲検的に検討した。くも膜下出血モデルはくも膜下出血の急性期モデルとして確立している血管内穿通法により作成し、経頭蓋電極により持続的に脳波をモニターし、テネイシンCノックアウトによりくも膜下出血後てんかんの重症度や頻度が軽減することを明らかにした。さらに野生型マウスのくも膜下出血モデルに抗てんかん薬を投与し、くも膜下出血後てんかんを抑制することで、テネイシンC誘導および神経細胞のアポトーシス発生が抑制されることを明らかにした。テネイシンCが神経細胞アポトーシスを引き起こす分子病態や細胞内情報伝達機構の解析ではToll様受容体4、上皮成長因子受容体、代表的なmitogen-activated protein kinaseであるextracellular signal-regulated kinase (ERK) 1/2、c-Jun N-terminal kinase (JNK)およびp38、cleaved caspase-3やサイトカインが関与することを明らかにした。また、各分子の発現細胞を同定するため、神経細胞のマーカーであるNeuN、astrocyteのマーカーであるglial fibrillary acidic protein、内皮細胞のマーカーであるCD34との多重免疫染色をおこなった。さらに別のマトリセルラー蛋白であるペリオスチンもまたくも膜下出血後のアポトーシスに関与し、抗てんかん薬により抑制されることが明らかになった。
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