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2021 年度 実施状況報告書

ワーラー変性における細胞内エネルギー代謝の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K17967
研究機関大阪大学

研究代表者

竹中 朋文  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60869527)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードワーラー変性 / 解糖系 / モノカルボン酸 / ATP / シュワン細胞 / TCA回路
研究実績の概要

本研究では、坐骨神経の損傷遠位軸索変性(WD:ワーラー変性)に関与するエネルギー代謝経路を、細胞内ATPの観点から明らかにすることを目的とした。令和2年度の実験では、GO-ATeam2 Tgラットおよびマウスの坐骨神経切断モデルを使用し、切断遠位のATP産生は主にシュワン細胞によって維持されている可能性が示唆された。
そこで、令和3年度はGO-ATeam2 Tgマウスを用いて、質量分析によるエネルギー代謝変化、免疫染色によるシュワン細胞内の代謝酵素を評価し、エネルギー代謝阻害薬やモノカルボン酸の局所投与によるATP量やWDへの影響を観察した。
まず、質量分析および免疫染色より、シュワン細胞内における解糖系亢進、TCA回路の抑制と、モノカルボン酸輸送体(MCT)による軸索へのモノカルボン酸輸送の亢進が示された。
さらに、解糖系阻害薬(2-DG)、MCT阻害薬(4-CIN)を神経切断直後に局所投与し、非投与時と比較して著明にATPレベルやWDが進行することを示した。一方、TCA回路の阻害薬(MSDC-0160)ではWDは進行しなかった。また、モノカルボン酸(エチルピルビン酸)を補充するとWDは遅延し、ATP量も増加した。したがって、神経切断後において、シュワン細胞における解糖系亢進とMCTによる軸索内へのモノカルボン酸輸送が、軸索内のATP量維持に関与していることが示された。さらに、切断後におけるミトコンドリアの変性所見より、軸索内でも解糖系によってATPが産生されている可能性が示唆された。上述の研究成果は、令和4年度に学術論文として報告予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エネルギー代謝阻害薬やモノカルボン酸の局所投与実験は、過去の文献(Chung et al., Neurochem Res, 2019)を参考にすることで、比較的容易に安定したモデルが作成できた。
実験動物であるGO-ATeam2 Tgマウスの個体繁殖、維持に関しても大きな問題を生じなかったことが順調な研究の進展に寄与したと考えられる。

今後の研究の推進方策

令和4年度は研究成果を論文化し報告予定である。
また、論文投稿後の追加実験の可能性を考慮し、GO-ATeam2 Tgマウス・ラットの個体維持は継続する。

次年度使用額が生じた理由

令和3年度においては、質量分析、阻害薬およびモノカルボン酸の局所投与実験における標本作成費用が生じたが、安定したモデル作成が行えたため、上記次年度使用額が生じた。
令和4年度では、主に実験動物の飼育費用や論文投稿後の追加実験に対する費用に用いる予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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