ワーラー変性(WD)の病態の構成因子の一つとしてアデノシン三リン酸(ATP)が知られているが、ATP産生に関わるエネルギー代謝経路は未解明な点が多い。そこで本研究は、細胞内ATPのin vivoイメージングを利用し、WDにおけるATPのエネルギー代謝経路の変化の解明を目的とした。末梢神経遠位では、シュワン細胞内の解糖系亢進に伴い産生されたピルビン酸が、MCTを介して軸索に輸送され、軸索内にて解糖系亢進によって代謝され、ATP維持・WD遅延に関連する可能性が示された。一方クエン酸回路の関連は乏しいことも示唆された。本研究の更なる発展は、WDに対する新規治療開発に貢献する可能性が期待される。
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