脳梗塞は、脳組織の虚血から神経組織が壊死に至り完成する疾患である。急性期治療が進歩してきたが、今なお重篤な後遺症を来す重篤な疾患であり、新規治療薬の開発が望まれている。脳梗塞の機序について、近年、炎症との関連が報告されてきている。IL-12サイトカインファミリーの一つであるIL-27は、抗炎症・免疫抑制作用を有し、様々な神経疾患において脳保護的に作用するサイトカインとして報告されている。しかしながら、脳梗塞とIL-27の関連についてはいまだ明らかになっていない。そこで本研究では、IL-27ノックアウトマウスを用いて、まずはIL-27の抗炎症作用が脳梗塞形成過程に関わる機序を明らかにすることを目的とした。 脳梗塞におけるIL-27の作用機序を調べるため、脳梗塞モデルマウスを作製し評価した。脳梗塞モデルは、野生型マウスおよびIL-27ノックアウトマウスを用いて、右中大脳動脈を経皮的に挿入した塞栓子を用いて、60分の一時遮断を行い作製した。血流遮断後の再灌流から24時間後に神経症状の評価を行い、脳サンプルを摘出し、免疫組織化学法(MAP2染色)での解析を行った。実験結果として、2群間で脳梗塞体積を評価したところ、形成される体積が異なっていた。その要因を解明するため、さらに脳梗塞モデルでの脳サンプルを作成し、IL-27欠損時に脳梗塞に影響をおよぼす細胞および炎症性サイトカインなどについて、qRT-PCR、フローサイトメトリーでの評価を検討し始めている。
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