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2020 年度 実施状況報告書

革新的ソフトバイオマテリアルによる椎間板性疼痛の制御

研究課題

研究課題/領域番号 20K17983
研究機関北海道大学

研究代表者

山田 勝久  北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (20771893)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードソフトバイオマテリアル / 椎間板性疼痛 / 高純度硬化性ゲル
研究実績の概要

本研究では、高純度硬化性ゲルを用いた椎間板組織修復治療が、椎間板性疼痛に関連する急性期炎症性サイトカインや亜急性期神経侵入に与える影響を評価し、本治療が椎間板組織変性の制御だけでなく急性期椎間板性疼痛の抑制に有用であるかを検討することで椎間板障害に対する次世代型治療の開発として臨床応用へと展開するための基盤を確立することを目的とした。
本年度は、ウサギ椎間板変性モデルを用いて椎間板性疼痛に関連するサイトカインと神経成長因子の評価を行った。日本白色家兎椎間板に対して、18G針を穿刺後に髄核を吸引し椎間板変性モデルを作成した。26G針を用いて髄核欠損部に高純度硬化性ゲルを充填し、術後1、4、7、28日目に椎間板を採取し、免疫組織化学染色による炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)、神経成長因子受容体TrkAの発現について陽性細胞率を評価した。ゲルを充填した群では髄核穿刺吸引群に比べ、TNF-α、IL-6、TrkA陽性細胞率が有意に低値であった。
本研究結果より、高純度硬化性ゲルはこれまで報告してきた椎間板組織変性の抑制効果に加え、椎間板性疼痛に関連するサイトカインと神経成長因子の発現を抑制する効果があること示された。すなわち、椎間板ヘルニア手術・髄核摘出術後の椎間板内の炎症性サイトカイン産生と椎間板組織変性を抑制することによって、椎間板損傷部の疼痛軽減に寄与すると考えられた。さらに、神経成長因子受容体の発現が抑制されたことから、椎間板性疼痛に関連する椎間板への神経新生が阻害される可能性が示された。これらの結果より、高純度硬化性アルギン酸ゲル埋植は椎間板ヘルニアに対する髄核摘出術後の疼痛軽減などに有用である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画は、椎間板部分摘出および穿刺後の急性期および亜急性期の疼痛に対する高純度硬化性ゲルの効果を明らかにすることで、椎間板組織変性の制御だけでなく急性期椎間板性疼痛の抑制に有用であるかを検討することで椎間板障害に対する次世代型治療の開発として臨床応用へと展開するための基盤となる研究を行うため、3年の研究期間内に以下のことを明らかにすることとした。
①椎間板性疼痛に関連するサイトカインと神経成長因子の評価
②疼痛関連行動評価
これらの研究計画のうち、①のウサギモデルを用いたin vivo研究が順調に進んでおり、ラットを用いた①②の研究に取り組んでいる。

今後の研究の推進方策

当初の研究予定のうち、今後は以下の研究計画を中心に進める予定としている。
①ラット尾椎椎間板穿刺モデルを用いた椎間板性疼痛に関連するサイトカインと神経成長因子の評価
②同モデルを用いた疼痛関連行動の解析
これらの研究を行うことで、動物種を越えて免疫組織学的評価が一致するかを確認することを予定している。さらに、ラットモデルを用いて疼痛関連行動評価を併せて行うことで、高純度硬化性ゲルの椎間板への埋植が疼痛行動に与える影響を評価できることが期待される。

次年度使用額が生じた理由

本研究では現在ラット尾椎椎間板穿刺モデルを用いた研究を進めている。ラット尾椎椎間板穿刺モデルについてはこれまでの研究に準じて問題なく作成でき、椎間板内への高純度硬化性ゲルの充填が可能であることが確認できている。ラットモデルにおいては免疫組織評価だけではなく、ウサギモデルでは不能であった疼痛関連行動評価を予定している。疼痛関連行動評価のための治具の購入や設定に関して、コントロールのラットを使用したセッティングを行っているが、測定のばらつきが大きいなどの調整および設定に時間を要したため、実験用動物や試薬の購入のための予算に関して次年度使用額が生じている。
現在疼痛関連行動評価の設定は完了しており、予定通り実験用動物および試薬購入に充てることを計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Mechanical Analysis of Notch-Free Pre-Bent Rods for Spinal Deformity Surgery2020

    • 著者名/発表者名
      Yamada Katsuhisa、Sudo Hideki、Iwasaki Norimasa、Chiba Akihiko
    • 雑誌名

      Spine

      巻: 45 ページ: E312~E318

    • DOI

      10.1097/BRS.0000000000003269

    • 査読あり
  • [学会発表] 膿瘍腔が大きい化膿性椎体椎間板炎は感染遷延・再燃の危険因子である-経皮的内視鏡下掻爬術55例の後ろ向き観察研究-2020

    • 著者名/発表者名
      山田勝久,高畑雅彦,伊東学,長濱賢,須藤英毅,岩田玲,遠藤努,辻本武尊,岩崎倫政
    • 学会等名
      第93回日本整形外科学会
  • [学会発表] コバルトクロムnotch-freeプリベントロッドは脊柱変形矯正手術に有用である-曲げ加工法および金属材料における力学特性の検討-2020

    • 著者名/発表者名
      山田勝久,須藤英毅,岩崎倫政,千葉晶彦
    • 学会等名
      第93回日本整形外科学会
  • [学会発表] 経椎間孔アプローチ手術におけるsafety working areaの形態計測 -3D腰椎神経根Volume Rendering画像解析-2020

    • 著者名/発表者名
      山田勝久,長濱賢,室田栄宏,平塚重人,高畑雅彦,岩崎倫政
    • 学会等名
      第35回日本整形外科基礎学会

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公開日: 2021-12-27  

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