研究課題
反転型人工肩関節全置換術が本邦に導入され10年を迎えた。本邦で使用可能なインプラントは全て諸外国メーカーによる製品であり、短中期成績の評価が可能と なった昨今においては、日本人の体格差によるインプラントサイズのミスマッチ、コンセプトの改良が望まれている。そこで本年度は、昨年度の合併症の多施設研究のデータをもとに肩峰骨折の有限要素解析法の検討の追加に併せて、インプラント設置に焦点をおいて臨床成績の疾患特性の検討を肩甲骨関節窩のinclinationの計測法に基づき詳細に評価した。近年、術後の予後不良因子として疲労骨折である肩峰骨折に着目されている。当方で施行した反転型人工肩関節のうちその頻度は20/377肩(5.3%)だった。諸外国の報告と同様の頻度であったが、骨折部位が臨床成績を左右し、特に術後比較的早期に発症する肩甲棘基部骨折に注意を要すると考えられた。近年新たに肩峰骨折の分類が細分化され、内側型に注意を要すると考えられているが、矛盾しない結果となった。さらに、イン プラントマッチングモデルを完成させ、有限要素解析法による肩峰骨折への応力分布の検討を肢位により追加した。上肢下垂位においては実臨床に一致した骨折部を確認した。肩外転位では、骨折部の一致は認められず、筋出力等を再現する更なる研究が望まれる。さ らに、419肩を対象とし3D補正の術後CTを用いコンポーネントの設置位置(inclination)に着目し、術後成績の疾患特性を検討した。腱板断裂性関節症、変形性肩関節症、腱板修復術後再断裂では棘上窩下面と平行となる十分なベースプレートの下方傾斜が良好な臨床成績につながると考えられた。一方、骨折、骨折続発症、人工肩関節術後再手術ではinclinationと成績の相関は認めず、大結節の転位や吸収、複数回手術など他の要因による影響に注意を要することがわかった。
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