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2020 年度 実施状況報告書

「抗菌薬含有脂肪由来幹細胞シート」を用いたバイオフィルム感染症への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K17993
研究機関金沢大学

研究代表者

山室 裕紀  金沢大学, 附属病院, 医員 (30844328)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード脂肪由来間葉系幹細胞 / 抗菌ペプチド / 人工関節周囲感染
研究実績の概要

人工関節(インプラント)周囲感染は、バイオフィルム感染症であり、インプラントを温存し感染を鎮静化する有効な治療法は未確立である。本研究の目的は、免疫応答の調整作用や抗菌ペプチドの分泌能を有する間葉系幹細胞を用いた人工関節(インプラント)周囲感染などのバイオフィルム感染症に対する新たな治療法を検討することである。
今回、抗菌ペプチドの中でもin vitroでバイオフィルム阻害効果を持つCathelicidinに注目した。これまで骨髄由来間葉系幹細胞(BMSCs)などの間葉系幹細胞の報告は散見されるが、脂肪由来間葉系幹細胞(ADSCs)のCathelicidin分泌能に関して検討した研究は少ない。そこでin vitroでラットからADSCsを作成し、ラットのCathelicidinであるrCRAMPの分泌能を評価した。その結果、ADSCsはBMSCsと比較し、rCRAMP の発現量が多い傾向にあった。本結果より倫理的・技術的問題が少なく、臨床応用に近いADSCsにおいてもCathelicidinの分泌能を有することを証明した。現在、ADSCsにシプロフロキサシン(CPFX)を含有しシート化させ、感染部位に局所投与する計画を遂行すべく取り組んでいるが、十分な量を含有しシート化する技術に難渋している。同時により効果的な投与方法を模索してきたが、Dil labelingしたADSCsを人工関節周囲感染モデルラットに静注し集積部位を評価したところ、局所投与では届きにくい骨髄内の感染したインプラント周囲に集積することを明らかにした。今後は、抗菌薬含有ADSCsシートの局所投与の実現に研究を進める一方で、ADSCsと抗菌薬静注併用療法やCPFX含有ADSCsの静注療法も検討していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は脂肪由来間葉系幹細胞(ADSCs)にシプロフロキサシン(CPFX)を含有しシート化させ、感染部位に局所投与する計画であったが、十分な量を含有しシート化する技術に難渋しているため、「やや遅れている。」と判断した。
しかし、一方でDil labelingしたADSCsを人工関節周囲感染モデルラットに静注し集積部位を評価したところ、骨髄内の感染したインプラント周囲に集積するという新たな知見を得た。抗菌薬含有ADSCsシートの局所投与の実現に研究を進める一方で、ADSCs単独とCPFX静注療法やCPFX含有ADSCsの静注療法に関する効果も検討に加えていきたい。

今後の研究の推進方策

脂肪由来間葉系幹細胞(ADSCs)にシプロフロキサシン(CPFX)を含有させシート化する技術の確立に向けて、in vitroの実験を進めていく。上記と並行して、これまでの研究でADSCsを静注投与することで、感染部位、特に局所投与では届きにくい骨髄内の感染したインプラント周囲に集積することを証明し、静注投与することでより感染局所に留まる可能性が示唆された。今後は人工関節周囲感染モデルラットを用いて宿主の感染状態評価に体重推移を測定し、臨床評価として局所所見、μCTを用いてインプラント周囲の骨溶解を評価する。感染評価としてインプラント表面のバイオフィルム内生菌数を計測し、摘出した大腿骨をヘマトキシリン・エオジン染色にて病理学的評価する。ADSCsの抗菌ペプチドや免疫応答への影響を評価するために膝関節内組織における抗菌ペプチド、炎症性サイトカインの発現についてリアルタイムPCR法により検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19感染の蔓延により学会の開催が中止になったため。
In vivoの実験が進んでいないため。

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公開日: 2021-12-27  

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