研究実績の概要 |
以下の実験結果をArthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery誌 第39巻 第4号 第1014頁~第1024頁に投稿し、acceptされた。 【目的】ブタ前十字靭帯(ACL)再建モデルにおいて、超高分子量ポリエチレン縫合糸を用いた補強(SA)の初期安全性を評価し、この方法が膝前方安定性や移植腱の構造特性や組織学的リモデリングに影響するか、異物反応を引き起こすかを検討する。【方法】10頭のブタを5頭ずつの2群(SA群、SAなし群)に分け、それぞれ自家半腱様筋腱を用いたACL再建術をSAあり、SAなしで施行した。術後12週目に移植腱とSAの脛骨側固定を除去し、力学的試験として膝前方安定性と移植腱の構造特性を評価した。組織学的評価として靭帯組織成熟度指数(LTMI)スコアおよび異物反応の有無を評価した。【結果】膝前方安定性は2群間に有意差を認めなかった(SA群1.19±0.78mm、SAなし群1.08±0.42mm、P = 1)。最大破断強度、降伏強度、剛性、破断伸びは2群間に有意差を認めなかった(それぞれP = 0.31, 1, 1, 1)。LTMIスコアは2群間に有意差を認めなかった(SA群26.6±0.5、SAなし群26.2±0.4、P = 0.24)。すべての移植腱に異物反応は認めなかった。【結論】ACL再建において超高分子量ポリエチレン縫合糸による補強は、膝前方安定性や移植腱の構造特性に影響を与えず、組織学的リモデリングを妨げず、異物反応を引き起こさない。本研究の結果は、SAを用いたACL再建術の有用性を検証するための更なる臨床研究の基礎となる。
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