研究実績の概要 |
本研究は、進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva, FOP)の新たな病態メカニズムを解明すること、そしてそれをターゲットとした新規治療標的分子の探索、標的分子をターゲットとした新薬開発を研究目的とする。FOPは軟部組織や筋肉に進行性の軟骨内骨化を生じる稀な先天性疾患で、BMPのキナーゼ型受容体であるALK2の変異(R206H変異など)に起因する希少難治性疾患である。根本的な治療法は確立されておらず対処療法のみであり、また現在治療薬候補として期待されているmTOR阻害剤は強力な免疫抑制剤であるため、間質性肺疾患や感染症といった重大な副作用を生じることが問題となる。したがって新しい治療薬の開発はFOP の優先すべき課題である。 本年度は、昨年度見出したFOP患者の線維芽細胞で発現が高い「gene X」について解析を行った。FOP由来の線維芽細胞やiPS細胞でgene Xをノックダウンしたところ、骨・軟骨化が抑制された。 作製したin vivo疾患モデルが新薬候補の効果検討に使用できるか評価するために、iPS細胞移植9週目からALK2阻害剤であるLDN-193189をポンプで2週間持続投与し、骨化阻害への効果を評価した。FOP iPS細胞由来のテラトーマでみられる顕著な軟骨内骨化は、ALK2阻害剤投与によって有意に減少した。
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