研究課題
本研究の目的はモーションキャプチャーにより、静止立位での体幹(肩甲帯、骨盤)の動揺を実測してcone of economyの3次元的動作解析を行い、新たな立位動揺指標としての有用性を明らかにするである。Cone of economyとはDuboussetらがヒトの立位保持を逆振り子に例えて提唱したモデルであり、そのサイズが立位動揺の指標と考えられているが、従来重心動揺計などで得られるcenter of pressure(COP)の移動速度や、振れ幅(sway)、軌道面積偏位などのパラメータとの関連は明らかになっていない。被験者を効率的に組み入れるため、成人脊柱変形の手術患者のリクルートを開始した。現在までに8名の術前患者に計測を依頼したが、うち2名は立位保持困難のため計測ができず、6名の術前データが収集できている。さらにこのうち2名分のデータを先行解析した結果、体幹の動揺が描出されており、軌道面積などのパラメータを抽出することが可能であることが判明した。従来型の動揺指標も同時に重心動揺計で計測しているが、これらのパラメータとの相関の解析はまだ行っていない。さらに、術後6か月の計測を1名行った。この計測に関しては外来ブースで撮像する簡易型の赤外線カメラ装置を用いた。赤外線カメラは8台から3台に減少する反面、一方向からの計測に耐えうるという利点がある。このため表面マーカーの設置位置を工夫し、体幹の指標として骨盤上に設置していたマーカーを、上前腸骨棘から後前腸骨棘に変更した。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍であり、ボランティアを用いた信頼性検証作業を行うことができていないが、診療活動の一環として術前後の患者計測は既に開始することができている。患者数は予想を下回るペースであるが、徐々に回復基調が見られるものと期待している。
引き続き患者リクルートの継続を積極的に行い、症例の獲得に努める。得られたデータに関しては、エンジニアとの連携により適切な処理方法を模索し、上記の重心動揺計パラメータとの比較を開始する。さらに術前後で動揺が減少することを実証することが目標である。
今年度は消耗品を購入する必要が少なく、研究を遂行ことができた。来年度は測定機器、解析ソフトウエアなどを購入する予定である。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 4件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
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