研究課題
本研究の目的はモーションキャプチャーにより、静止立位での体幹(肩甲帯、骨盤)の動揺を実測してcone of economyの3次元的動作解析を行い、新たな立位動揺指標としての有用性を明らかにするである。Cone of economyとはDuboussetらがヒトの立位保持を逆振り子に例えて提唱したモデルであり、そのサイズが立位動揺の指標と考えられているが、従来重心動揺計などで得られるcenter of pressure(COP)の移動速度や、振れ幅(sway)、軌道面積偏位などのパラメータとの関連は明らかになっていない。現在は成人脊柱変形の手術患者のリクルートに注力している。現在までに17名が研究対象となったが、うち2名は立位保持困難のため計測ができず、15名の術前データが収集できている。赤外線カメラでマーカーを追跡するモーションキャプチャーを基本としている。このうち2名分のデータを先行解析した結果、体幹の動揺が描出されており、軌道面積などのパラメータを抽出することが可能であることが判明している。さらに同計測設備に含まれていたforce plateのデータを活用して重心動揺計として利用するソフトウェアを導入し、モーションキャプチャーと重心動揺検査を単一の検査で実行する環境を整備した。術後6か月の計測は12名行った。この計測は外来ブースで撮像する簡易型の赤外線カメラ装置を用いた。赤外線カメラは8台から3台に減少する反面、一方向からの計測に耐えうるという利点がある。計測時間の短縮のため、cone of economyの分析に必要十分な表面マーカーの設置に変更し、体幹の指標としてC7棘突起、骨盤の指標としてS1棘突起、両膝、両踵の6点に限定することとした。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍であり、ボランティアを用いた信頼性検証作業を行うことができていないが、診療活動の一環として術前後の患者計測を継続している。患者数がコロナ禍の影響で減少していることと、想定していたよりも複雑なケース(立位保持不能、再手術例)などが多く、リクルートは当初の予想を下回るペースで推移しているが、pilot studyとしては十分な症例数を獲得できる見込みである。
引き続き患者リクルートの継続を積極的に行い、症例の獲得に努める。得られたデータに関しては、エンジニアとの連携により適切な処理方法を模索し、上記の重心動揺計パラメータとの比較を行う。相関が確認され、モーションキャプチャーでcone of economyを分析することが適切であることが確認できれば、さらに術前後で動揺が減少することを証明できる予定である。
順調に研究が進んでいるが、必要以上に経費をかけずに済んだ。次年度の経費のかさむ解析等に使用する計画である。
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すべて 雑誌論文 (26件) (うち国際共著 4件、 査読あり 26件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)
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