最終年度は前年度に引き続き、最新インプラントの摩耗量の経年変化を中心に計測をおこない、またインプラントの経年移動量を当初の計画通り専門解析ソフトを用いて計測をおこなった。最新インプラントの性質は予々良好であったが、初期固定性に関してはインプラント単体ではなく、患者の骨質や骨形態なども影響すると考えられ、実際の臨床研究では定量的に計測するのが難しい側面も見られた。また、現存するインプラントの耐摩耗性に関しては、術後20年以降等長期的にどう変化していくかが今後注目されるところとなるが、症例数が限定的なこともあり、検証が難しい点も明らかとなった。今後は基礎実験も含めたインプラントの耐摩耗性(特に術後長期経過後)、骨固定性についても検討していきたいと考えている。本研究を通して、共に最新の放射線照射回数を増やしたインプラントライナーと、ビタミンEを混合したインプラントライナーでは術後5年の耐摩耗性には差がないことが明らかとなり、継続使用が問題ないことを世界で初めて報告した。本研究結果は第51回日本人工関節学会学術総会で口演発表され、また査読あり英文雑誌に2022年に掲載された。(Yamamoto et al. Orthop Traumatol Surg Res. 2022)本研究成果を踏まえて、企業と連携をとり、新しいインプラントの開発に着手中ではあるものの、本研究期間中に開発までは至らなかった。今後の研究課題の一つとして、取り組んでいきたいと考えている。
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